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2012 年度 実績報告書

言語的伝達を媒介した方法知の学習に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12J00601
研究機関筑波大学

研究代表者

小嶋 季輝  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード方法知 / 学習者現実 / 概念主義 / 遂行論
研究概要

本研究の目的は,方法知を表現する言語的伝達(内容知)を媒介した方法知の学習について検証し,その特定の言語的伝達の種類と機能(効果)及び課題に対する適用条件と適用範囲を明らかとすることにある.そのために,当該年度では,調査フレーミングの設定に取り組んだ.
調査において学習者現実という学習者固有の主観的データを採取し,分析するためのフレーミングを,既存の調査アプローチの比較検討及びその背後にある認識論の理論的再検討を行うことを通じて設定した.その際明らかとした点は次の通りである.
外部の情報(概念)を解釈し,それを踏まえ自身の意味(信念)を作っていく過程の分析のように,概念と信念の分離を認めることを概念主義と呼ぶが,この概念主義の立場を採ることで,学習者が自分だけのモノサシで自分だけの現実を構成し学習に取り組む様が明らかとなった,学習者は外部の情報全般について,「それをそれ」として,あるいは,「それはそれ」
として括弧に括り,その上で自分の解釈に基づき判断し,意味付けている.
そして,それ故,「客観的な知識」というものは存在せず常に「誰かにとっての知識」である.知識の所有者が自分であれば信念として,他者の所有であれば概念として対象化される.それゆえ,知識は私秘的な性質を帯びる.この私秘性のため,知識の所有は,方法知の遂行であるパフォーマンスとして示されることによってのみ証明される.たとえ,知識が内容知であっても,「Xを知っている」は存在証明されず,「Xについて口頭で説明出来る」や「Xについて答案用紙に解答出来る」という,特定の方法知との組み合わせによって示される.
この方法知の観察を通して,遂行論的次元で知識を確認していくことが,言語的伝達と方法知の学習の調査・分析に有効な視座となる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた対象校での調査実施が困難となったため,調査の開始が遅れることとなったが,予定を一部変更し,調査対象校の選定をやり直すことで対応した.これにより,遅れは,次年度での修正によって全体計画に影響しない程度に収まっている.

今後の研究の推進方策

次年度では,現在着手している調査を継続する.当該年度の成果である調査フレーミングを用いて,実際の学習場面における学習者の学習者現実に関するデータを採取し,学習者の主観的解釈の変化,学習の深化に伴う理解の変遷に関して継続的な調査を行うことで,当課題の総括的な成果を得たい.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 概念主義と学習者現実の理論的基礎付け : Polanyiの理想に求める学習の主観性研究の展望2013

    • 著者名/発表者名
      小嶋季輝
    • 雑誌名

      学校教育学研究紀要

      巻: 6 ページ: 19-31

    • 査読あり
  • [学会発表] 日常知と学校知の連続性に関する一考察 : ID崩しを手がかりとして2012

    • 著者名/発表者名
      小嶋季輝
    • 学会等名
      教育方法研究会
    • 発表場所
      山中共同研修所
    • 年月日
      2012-08-25

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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