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2013 年度 実績報告書

菌従属栄養植物における生態適応:絶対菌寄生性の獲得と特異な送粉様式の進化

研究課題

研究課題/領域番号 12J00602
研究機関京都大学

研究代表者

末次 健司  京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード菌従属栄養植物 / 従属栄養植物 / 自動自家受粉 / 菌根共生 / 寄生植物
研究概要

研究の最終的な目標は、独立栄養を営むはずの植物の中で、菌類や他の植物に寄生して養分を得るようになった従属栄養植物が、どのような適応を遂げ、進化してきたかのを明らかにすることである。以前から、従属栄養植物は、宿主との関係性を初め複雑な生物間相互作用を持つと予想され、注目を集めていた。その一方、従属栄養植物は、開花、結実期以外は地上に姿を現さないため、分布情報すら明らかになっていない種が多く、詳細な生態学的研究は困難が伴うと思われてきた。そこで私は、まず従属栄養植物の精力的なフィールドでの探索と記載分類を並行して行うことにより、生態学的な研究を可能にしてきた。
菌従属栄養植物に関する従来の研究の中心は宿主の同定をすることであったが、さらに私は、菌従属栄養植物の適応や進化を明らかにすべく、多角的なアプローチを用いて研究を展開した。例えば、菌従属栄養植物は地中の菌に養分を全面的に依存していることから、その生育場所は菌糸が豊富に存在する暗い林床であることが多い。こうした環境はハナバチなどの訪花性昆虫のにぎわいとは無縁の世界であるため、菌に寄生するという生活史は、暗い林床で受粉を達成するという困難を植物に強いている。そこで実際に従属栄養植物の送粉様式を調査したところ、多くの種類が昆虫に受粉を頼らずにすむ自動自家受粉を採用していた。こうした自殖の進化は暗い林床で確実に繁殖するのに役立ったと考えられる。これらの一連の研究は、従属栄養植物が、寄生能力を獲得するだけではなく、繁殖に関しても特別な適応を遂げる必要があることを初めて示した研究であるといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上記の成果は、当該年中も複数の国際学術論文誌で受理、出版されており、期待以上の研究の進展があったといえる。

今後の研究の推進方策

引き続き、野外観察、室内実験を行い、論文を執筆する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Evidence for specificity to Glomus group Ab in two Asian mycoheterotrophic Burmannia species2014

    • 著者名/発表者名
      Suetsugu K, Kawakita A, Kato M.
    • 雑誌名

      Plant Species Biology

      巻: 29 ページ: 57-64

    • DOI

      10.1111/j.1442-1984.2012.00387.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gastrodia takeshimensis (Orchidaceae), a new mycoheterotrophic species from Japan.2013

    • 著者名/発表者名
      Suetsugu K.
    • 雑誌名

      Annales Botanici Fennici

      巻: 50 ページ: 375-378

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Delayed autonomous self-pollination in two Japanese varieties of Epipactis helleborine (Orchidaceae).2013

    • 著者名/発表者名
      Suetsugu K.
    • 雑誌名

      Botanical Journal of the Linnean Society

      巻: 173: ページ: 733-743

    • DOI

      10.1111/boj.12111

    • 査読あり
  • [学会発表] 生物間相互作用を制御する菌類の香り きのこの香りを科学する ―菌類の揮発性物質の機能、役割とその利用―2014

    • 著者名/発表者名
      末次健司
    • 学会等名
      鳥取大学ポストグローバルCOE 公開シンポジウム
    • 発表場所
      上野
    • 年月日
      20140300
    • 招待講演
  • [学会発表] 従属栄養性に制約された寄生植物の送粉様式 : 送粉者をおびき寄せる第三者の存在 企画集会 隠れた相互作用が明らかにする送粉生態学研究2014

    • 著者名/発表者名
      末次健司、加藤真
    • 学会等名
      日本生態学会61回全国大会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      20140300
  • [学会発表] 鹿児島県三島村で発見されたタケシマヤツシロラン 光合成も開花もやめた新種のラン科植物2014

    • 著者名/発表者名
      末次健司
    • 学会等名
      植物分類学会第13回全国大会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20140300
  • [学会発表] 菌従属栄養植物の受粉様式~送粉を達成するための特殊な進化 シンボジウム光合成をやめた植物―菌従属栄養植物のたどった進化の道のり2013

    • 著者名/発表者名
      末次健司、加藤真
    • 学会等名
      日本植物学会第77回全国大会
    • 発表場所
      北海道
    • 年月日
      20130900
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      https://sites.google.com/site/suetsugujp/

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公開日: 2015-07-15  

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