研究課題/領域番号 |
12J00625
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
塚本 裕介 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 星形成 / 星周円盤 / SPH / 惑星形成 / MHD / オーム散逸 |
研究概要 |
実績1:乱流場のある分子雲コア内での原始星、円盤進化 我々は乱流場を持つような分子雲コア内の原始星進化、円盤進化を三次元流体シミュレーションで調べた。その結果(1)乱流めよどみ点周囲で重力不安定が速く進むため、剛体回転しているときのように高速回転したファーストコアは形成しないこと、(2)円盤は形成初期には小さく、原始星形成後に周囲のフィラメント構造からの質量降着によって形成すること、(3)円盤面は分子雲コアの力学的時間程度で動的に進化すること、を見出した。この結果はMNRAS誌に掲載された。 実績2:輻射流体力学を用いた円盤分裂によって形成したガス片(クランプ)の軌道および熱進化十分に重い星周円盤が重力不安定によって分裂し、10木星質量程度のグランプが形成する過程は遠方惑星や褐色矮星、連星形成過程として注目を集めている。我々は分子雲コアを初期条件とする三次元輻射流体力学シミュレーションによって円盤の形成進化過程とその分裂、そしてクランプの軌道および熱進化を一つのシミュレーションで首尾一貫して調べた。その結果、(1)円盤分裂は原始星形成以後数千年程度の時期に起きうること、(2)クランプは数千年程度で原始星(あるいは原始惑星)に進化すること、(3)クランプは数軌道周期で中心星に落下すること、が明らかになった。 実績3:磁気流体シミュレーションコードの開発とオーム散逸のSPMHD向け定式化と実装Iwasaki & Inutsuka 2011に基づくSPMHDコードの開発と並列化を行い、さらにオーム散逸のSPMHD向けの定式とコードの実装および並列化を行った。現在大規模シミュレーションのための並列化も終了しており、三次元の重力崩壊のテスト計算では先行研究と整合的なアウトフローの生成が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は磁気流体コードの実装と円盤形成の輻射流体シミュレーションが主な研究計画であったが、これらは計画通りに推移した。それに加えさらにオーム散逸の定式化と実装にも成功したため(1)とした。
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今後の研究の推進方策 |
SPHによる磁気流体シミュレーションは実績が少ないことから来年度は実績の豊富な格子コードとの比較を行い我々のシミュレーションが格子の結果と整合的であることを確認する。そのうえで研究計画にある円盤形成過程を輻射磁気流体シミュレーションを推進していく。
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