分子雲コア内の磁場は比較的強く、原始星や円盤形成進化に大きな影響を与えることが指摘されてる。特に磁場による角運動量輸送(磁気制動)によって円盤の形成初期のサイズは大きな影響をうけることが指摘されてきた。 分子雲コア内は低電離環境であるため非理想磁気流体効果(オーム散逸、ホール効果、両極性散逸)が重要な役割を果たす。しかしながらこれらの効果が現実的な温度進化の元で円盤形成過程にどのような影響を及ぼすかは明らかではなかった。 そこで、本年度は円盤形成過程における磁場の影響を、特に磁気散逸過程(オーム散逸、両極性散逸)に注目して、非理想輻射磁気流体シミュレーションによって研究した。 そのためにまずオーム散逸と両極性散逸のSPHを用いた定式化と実装を世界で初めて行った。 次に、このコードを用いて、分子雲コアの重力崩壊シミュレーションを行った。その結果、磁気散逸効果のみを考慮した場合でも原始星周囲には形成直後から半径1AU程度の回転で支えられた円盤が存在すること、円盤の質量は十分重く、重力不安定性が角運動量輸送に重要な役割を果たすことを見いだした。この内容は現在査読論文にまとめられ、投稿中である。
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