研究概要 |
空調分野は近年のエネルギー需要の中でも大きな割合を占めており,そのエネルギー削減のためには,空調機の高効率化,特に主要要素機器である熱交換器の高性能化を図る必要がある.その一つの方法として,扁平多穴管など従来よりもかなり小さい,水力直径1mm程度の微細流路を用いる熱交換器の開発が進められている.本研究では,内径または一辺が1mm程度の円形,矩形,三角形の流路を有する微細流路伝熱管内を垂直上昇・下降および水平に流れる際の,沸騰熱伝達と圧力損失の特性を,実験を中心とした調査を行っている.また,ほぼ同じ水力直径と形状を有するガラス管と,高速度カメラを用いて管内を流れる冷媒の可視化実験を行うことで,流路形状や流動方向が,熱伝達と圧力損失に及ぼす影響についてメカニズムの検討を行っている.平成24年度には以下の成果を得た. 1.円形,矩形および三角形の流路形状を有するガラス管内を,垂直(円形・矩形・三角形)および水平(円形・矩形)に流れる際の断熱気液二相流動様相の観察を行い,流動様相に及ぼす流路形状や流動方向の影響を検討した.その結果,質量速度200kg/(m^2・s)以上の高流量では流動様相に及ぼす流路形状や流動方向の影響はみられず,質量速度100kg/(m^2・s)以下の低流量で流路形状や流動方向の影響がみられることを明らかにした.さらに,従来の流動様式判別線図を微細流路に適用するのには問題があることを明らかにし,流量やクオリティまた流路形状,流動方向の影響を良く判別する,微細流路に適用可能な流動様式線図を新たに作成した. 2.矩形と三角形流路内垂直流,および円形と矩形流路内水平流の,スラグ流域における加熱時における可視化実験を行った。その結果,非円形管では辺中央部に,水平流では管頂側に,蒸発のしやすい薄い液膜が存在することを検証し,非円形伝熱管や水平流に配置された伝熱管における非常に良好な熱伝達メカニズムを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで実施してきた熱伝達実験において,非円形の流路を有する伝熱管や水平に配置した伝熱管は,良好な熱伝達を示す事が明らかになっていたが,その伝熱メカニズムを可視化実験を行うことで明らかにし,本研究の大きな目的の一つを解決したため.
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