研究課題
昨年度において(Z)-3-へキセニルビシアノシド(へキセニル配糖体)合成遺伝子の単離・同定をするために利用した、栽培トマトと近縁野生種の交配によって生じたヘキセニル配糖体合成能を失ったトマトを用いて、ハスモンヨトウ食害に対する抵抗性の違いを検証した。その結果、へキセニル配糖体合成能を失ったトマトを食べたハスモンヨトウ幼虫の成長は、へキセニル配糖体を合成できるトマトを食べたハスモンヨトウ幼虫の成長に比べて有意に大きかった。この結果から、へキセニル配糖体がハスモンヨトウ幼虫に対する防衛物質として植物内においても機能する事が強く示唆された。この研究結果はヘキセニル配糖体が防衛物質としてin plantaにおいて働くことを示唆する結果であり、へキセニル配糖体の防衛機能、ひいては揮発性化合物の受容に関して、生理・生態学的な検証を行うための足がかりとなる結果である。一方で、交配導入による遺伝子機能の解析では、複数遺伝子の導入がどうしても起こってしまう。本研究で得られた証拠をより確実なものとするためには、形質転換によって配糖体化遺伝子の発現のみを特異的に抑制させた植物を作製する必要があるが、これには長い期間が必要となるため、将来の課題とする。昨年度までの生化学的な解析結果からへキセニル配糖体が、揮発性化合物に曝露された植物だけではなく、食害を受けた葉にも蓄積することが明らかになっている。今年度の研究結果は、生化学的な解析結果の生物学的な機能を示唆する重要な進展結果である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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