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2013 年度 実績報告書

ペプチド間相互作用に基づくナノ粒子の表面設計法の確立とその表面特性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 12J00844
研究機関大阪大学

研究代表者

松本 匡広  大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードペプチドワクチン / アジュバント / ドラッグデリバリーシステム / 生分解性ナノ粒子 / 細胞内環境応答性
研究概要

低副作用で転移がんにも有効ながん治療法として、患者自身の免疫を活性化し、がん細胞を攻撃させるペプチドワクチン療法が注目されている。ワクチンは、体内の樹状細胞に取り込まれることで免疫を誘導する。しかし、ペプチドワクチンを注射などにより投与するだけでは、樹状細胞以外の細胞にも取り込まれてしまう。その結果、免疫は誘導されず、免疫寛容などの副作用を引き起こすことが問題となっている。この問題の解決のため、ペプチドを樹状細胞選択的に送達する手法の確立が求められている。現在、生分解性高分子から成る微粒子状キャリアにペプチドを内包することで、樹状細胞選択性を向上させる手法が主流である。しかし、本手法においても、ペプチドの粒子からの漏出は避けられず、副作用の危険性は排除できない。申請者はこれまで、アミノ酸N-カルボキシ無水物(NCA)重合法により、親水性のポリエチレングリコール(PEG)をコロナ、疎水性のポリフェニルアラニン(PPhe)をコアとするコア―コロナ型の生分解性ナノ粒子が得られることを報告してきた。さらに、PEGとPPheの間にジスルフィド結合を導入することで、還元反応によるPEG鎖の解離と酸化反応による結合により、ナノ粒子の表面構造を自在に制御可能であった。本年度は、得られたナノ粒子の表面構造が樹状細胞に与える影響について明らかにすることを目的とし実験を行った。その結果、特に、解離可能なPEG鎖を有するナノ粒子が、細胞内環境に応答してPEG鎖が解離し、疎水性表面が露出することで樹状細胞を活性化することを見出した。さらにこの知見から、本ナノ粒子をペプチドワクチンキャリアとして展開した。本ナノ粒子を用いることで、ナノ粒子を取り込んだ樹状細胞のみを選択的に活性化し、ペプチドを送達することができることが示唆された。本設計は、安全で効果の高いペプチドワクチンシステムの確立に寄与すると期待される。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Preparation of Biodegradable Peptide Nanospheres with Hetero PEG Brush Surfaces2014

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Matsumoto, Michiya Matsusaki, Mitsuru Akashi
    • 雑誌名

      Macromolecular Bioscience

      巻: 42 ページ: 142-150

    • DOI

      10.1002/mabi.201300201

    • 査読あり
  • [学会発表] 親水性-疎水性の劇的な表面特性変化を可能とする生分解性ナノ粒子を用いた新しいペプチドワクチンの創製2014

    • 著者名/発表者名
      松本 匡広、松崎 典弥、宇都 倫史、赤木 隆美、明石 満
    • 学会等名
      第7回アジュバント研究会
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター(大阪)
    • 年月日
      2014-01-21
  • [学会発表] 細胞内還元環境で表面構造を劇的に変化するペプチドナノ粒子を用いた細胞質薬物送達システムの創製2013

    • 著者名/発表者名
      松本 匡広、松崎 典弥、明石 満
    • 学会等名
      第62回高分子討論会
    • 発表場所
      金沢大学(石川)
    • 年月日
      2013-09-11
  • [学会発表] 細胞内グルタチオン濃度で解離するPEGブラシペプチドナノ粒子による樹状細胞の活性化2013

    • 著者名/発表者名
      松本 匡広、松崎 典弥、明石 満
    • 学会等名
      日本バイオマテリアル学会第8回関西若手研究発表会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪)
    • 年月日
      2013-08-31
  • [学会発表] 還元応答性PEGブラシ表面を有する生分解性ペプチドナノ粒子による細胞内薬物送達システム2013

    • 著者名/発表者名
      松本 匡広、松崎 典弥、明石 満
    • 学会等名
      第59回高分子研究発表会(神戸)
    • 発表場所
      兵庫県民会館(兵庫)
    • 年月日
      2013-07-12

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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