研究課題
研究者は、ウェアラブルコンピュータやフレキシブルデバイスに向けて、銀フレークとポリウレタンの複合材料で7倍伸ばしても通電可能な伸縮性導体を開発した。「耐環境性を有する伸縮性導体の開発」は、プリンテッドエレクトロニクス(PE)用の柔軟な導電性接着剤として期待され、実用化に向けて非常に重要になると考えている。昨年度では、耐劣化防止剤を微量添加することで、高温高湿(85℃/85%RH)放置下で、従来では困難だった700時間の安定した電気特性をもつ伸縮性導体を得た。今年度は、研究実施計画の記載通り、伸縮性導体に対する耐環境性評価の継続、および、伸縮性導体の微細化にむけた金属ナノ材料の開発、金属ナノ材料を用いた微細配線形成の手法確立を目的とした。耐劣化防止剤の配合した伸縮性導体において、熱伝導率測定、および、チップ実装をされたプリント基板で衝撃試験、高温高湿(85℃/85%RH)や冷熱サイクル(-40℃/125℃)放置後における抵抗値測定とせん断試験を行った。耐劣化防止剤を添加した伸縮性導体がもつせん断力は、1000時間放置後も変わらず2~5MPaの値を示し、耐劣化防止剤を含有しない伸縮性導体に比べて安定した結果であった。開発した伸縮性導体は、柔軟なため衝撃には粘り強く、過酷な加速試験下で安定した機械的特性をもち、さらには従来の導電性接着剤と同程度の電気抵抗率や熱伝導率を持つことから、PEへ向けた導電性接着剤として使用可能性を広げた。ナノ金属材料の開発に関しては、従来の長さより5倍長い銀ナノワイヤの化学合成、および、光焼結にて数秒で還元銅が得られる錯体インク作製に成功し、インパクトの高い査読有雑誌へ関連結果も掲載された。計画当初は、微細化技術に向けて、導電性糸を作製する予定であったが、オランダ、Holst Centreにて最新のレーザー技術を使用する機会を得、レーザー転写法での微細配線パターン作製へ変更した。開発した銀ナノワイヤは、アスペクト比が高いためワイヤ同士ネットワークを形成しやすく、伸縮性導体の導電充填剤として非常に有効であることから銀ナノワイヤ/ポリマー複合材料を用いたレーザー転写を行い、新たな結果を得ている。
1: 当初の計画以上に進展している
研究実施計画通り、耐環境性を有する伸縮性導体に関する評価・開発・金属ナノ材料の開発・微細化技術の確立を遂行することができており、それを証明する数多くの論文や学会での成果発表をできている。当初の予定以上に研究を進めることができている。
伸縮性を有する微細配線(当初は導電性糸)の機械的特性や電気的特性の性能向上めざし、金属ナノ材料の開発・検討、バインダーの調整・検討を行う。次に、微細配線の環境試験を行い、実用化への検討を行う。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
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