研究課題/領域番号 |
12J00880
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉村 彰真 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | タンパク質 / β-ラクタマーゼ / 二量体形成 / 機能制御 |
研究概要 |
タンパク質機能を制御する手法として、ラバマイシンを用いた方法がこれまでに報告されている。しかし、ラバマイシンの構造上、化学スイッチを組み込むことが困難である。そこで申請者は、所属するグループで開発されたBL-tagシステムおよびHalo-tagやSNAP-tagなどの市販タグシステムと機能性化学プローブを組み合わせることによって、タンパク質機能を制御するシステム構築を目指す。 本研究では、以上のタンパク質ラベル化システムとプローブを用いて、標的タンパク質を人工的に二量体化させることにより、その機能を制御し、生物学研究における新たなツールを確立する。 まずは、標的タンパク質同士を結合可能なシステム開発を目指した。本研究室で開発したBL-tagと、市販のHalo-tagおよびSNAP-tagの認識部位をリンカーで結合したプローブを合成した。そして、目的とするタンパク質を生細胞中に発現させ、その後合成した化合物を添加した後に細胞を破砕してウエスタンブロットによる解析を行った。その結果、タンパク質の二量体を形成できることが分かった。さらに、様々な誘導体の合成を行い、化合物の構造を最適化した。 続いて、生細胞において。細胞質に発現するタンパク質と、細胞膜や核など異なる細胞分画に発現するタンパク質との結合が、化合物添加によって形成され、その結果、タンパク質局在を人工的に変化させることが可能であるか評価した。しかし、狙ったタンパク質の局在制御を確認することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンパク質同士を繋ぐ分子の合成と、それを用いたタンパク質二量体形成を生細胞内で確認できたところまでは予定通りであった。しかし、タンパク質の局在を、合成した分子によって変化させることができなかった。そのため、当初の計画よりは少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
期待した通りの結果が出なかった理由については、タンパク質と化合物の反応点が2つあることであると考えている。そこで、化合物に特別な保護基を修飾することによって、2つのうち、片方の反応を抑制させる。つまり、片方のタグタンパク質と化合物を反応させ、その後刺激によって、化合部の保護基を取り除き、2つ目の反応を起こさせる。これにより、当初の目的を達成できると大いに期待できる。
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