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2013 年度 実績報告書

PGD2による癌の転移阻止

研究課題

研究課題/領域番号 12J01079
研究機関東京大学

研究代表者

小林 幸司  東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード転移 / 血管透過性 / Prostaglandin D2 / SDF-1a
研究概要

Prostaglandin D2 (PGD2)の合成酵素および、その受容体をノックアウトしたマウスを用いて、癌の転移におけるPGD2の関与を検討した。合成酵素および、受容体の1つであるCRTH2をノックアウトしたマウスで、癌の転移が顕著に抑制された。これらのマウスは癌を接種した後の生存日数が顕著に増加した。また、合成酵素、CRTH2受容体の阻害剤を投与することでも癌の転移が抑制された。これらの結果から、PGD2シグナルの阻害が腫瘍の転移を防ぐことが示され、治療の有望なターゲットとなりうることが示された。
また、PGD2と同様に炎症部位で産生されるオータコイドであるStromal cell-derived factor-1alpha (SDF-la)についても着目した。SDF-1aは骨髄細胞を癌などの炎症部位に遊走させて炎症を促進することが分かっているが、血管機能への影響は不明である。そこで、癌の成長や転移に最も重要な因子の一つである血管内皮透過性に着目し、SDF-1aが血管内皮透過性にどのような作用を示すのか検討した。その結果、SDF-laはCXCR4受容体を刺激して、血管内皮透過性を抑制することがわかった。この詳細な機構を検討したところ、CXCR4/PI3K/Rac1経路を介した細胞骨格の制御が重要であった。また、SDF-1aをマウスに投与すると血管透過性が減少し、炎症反応を抑制できることもわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PGD2が癌の転移に与える影響について明確な結論を出すことができた。また、SDF-1aというPGD2とは別の血管透過性制御物質を同定することもできた。

今後の研究の推進方策

PGD2が癌の転移を抑制するメカニズムを詳細に検討する。骨髄キメラマウスや、マイクロアレイなどを用いてPGD2の産生源と標的細胞、およびその作用機序を明らかにする

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] C-X-C chemokine ligand 12 is a novel suppressor of endothelial permeability2013

    • 著者名/発表者名
      小林 幸司
    • 学会等名
      American Heart Association
    • 発表場所
      アメリカ ダラス
    • 年月日
      2013-11-21
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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