研究課題/領域番号 |
12J01097
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 重力マイクロレンズ / 系外惑星 / 惑星起源・進化 |
研究概要 |
本研究の目的は、我々の銀河系で最も一般的な星であるM型星に付随する、氷境界の外側における惑星頻度を、重力マイクロレンズ法をから求めることである。重力マイクロレンズ法による惑星の検出数を増やすために、6月下旬から7月にかけてニュージーランドのマウントジョン天文台に1ヶ月滞在し、口径1.8mのMOA-II望遠鏡を用いて、銀河中心方向を観測した。マイクロレンズイベントの光度曲線中に現れる惑星シグナルは、タイムスケールが数時間と短い。したがって、観測中に取得データをリアルタイムに解析し、惑星シグナルを発見し、フォローアップ観測を促すことが重要である。今回の滞在で惑星を検出することはできなかったが、惑星候補イベントのデータ取得、多くの連星イベントのデータ取得に貢献した。また、2007年から2012年の6年間に観測されたマイクロレンズイベントを全て見直し、これらのデータから惑星頻度を見積もった。具体的には、MOA-II望遠鏡で観測された全てのマイクロレンズイベントのデータ点に対してシングルレンズフィットを行い、フィッティングが合わないものはバイナリーレンズモデルでフィッティングを行った。フィッティングから得られるパラメーターの値でイベントの分別を行ない、惑星シグナルに十分に感度のあるシングルレンズイベント、惑星イベントを抽出した。抽出したこれらのイベントにおいて惑星の検出効率を計算し、6年間の観測から得られる惑星検出の期待値を見積もった。得られた検出期待値と、実際の惑星検出数から統計的な手法であるベイズ推定を用いて、氷境界の外側における惑星頻度を見積もった。その結果、木星質量程度の惑星頻度は7%,海王星質量程度の惑星頻度は30%とわかった。この結果は、マイクロレンズ法の先行結果と一致しているが、木星質量程度の惑星頻度は、やや少なく見積もられた。先行研究と異なるデータから、独立に得られた結果であるため、重要な結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果を論文として発表する予定であったが、現在まとめている途中である。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロレンズ法で見つかった惑星の数は、統計的にまだ少ないので、今後も惑星発見数を増やす必要がある。また、木星質量程度より重い側、つまり、褐色倭星質量程度の存在頻度も求めたいと考えている。惑星質量比から連星質量比まで、統一な手法で存在頻度を求めることにより、連星の形成過程に、観測から制限を与えられると考えられる。 そのためには、連星質量比の伴星に対する検出効率を求める必要がある。
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