研究課題/領域番号 |
12J01134
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
遠藤 優介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | コンピテンシー / 科学教育の目的・目標 / ドイツ |
研究概要 |
各教科教育領域の目的・目標として、これからの国際社会において必要不可欠な「コンピテンシー」の育成を重要視する動きは、今や国際的様相を呈している。そのような中、本研究は、ドイツ科学教育におけるコンピテンシーによる目的・目標設定の諸相を構造的に明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために、本年度は次の三点を中心として研究を展開し、成果を得た。第一に、PISAショック後に展開されたドイツにおける教育改革の内、とりわけKMKによって策定がなされた科学系教育スタンダードを分析し、育成が目指されているコンピテンシーの内容を明らかにした(「ドイツにおけるPISAショック後の教育政策と科学カリキュラム改革」、日本科学教育学会第36回年会)。第二に、KMK教育スタンダードの策定を受け、各州がいかなる科学カリキュラムの改革を展開しているかについて、いくつかの州を事例にその実態を明らかにした(「ドイツにおけるPISAショック後の教育政策と科学カリキュラム改革」 、日本科学教育学会第36回年会、及び、「ドイツバイエルン州レールプランにおける化学教育の目的・目標の分析-KMK化学教育スタンダードとの関連を中心として-」、平成23年度第5回日本科学教育学会研究会)。第三に、各州におけるコンピテンシー指向の科学カリキュラムを構築する際、その理論的基盤を提供するコンピテンシーモデルについて、その類型や構造、さらには基本要素といった側面とともに、その開発動向について明らかにした(「ドイツ科学教育におけるコンピテンシーのモデル化、日本理科教育学会第62回全国大会」。これら本年度の研究成果は、次年度を含めた研究全体の目的達成に向けた基盤となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施予定であった、KMK科学系教育スタンダードにおいて規定されたコンピテンシーの内容的側面の解明、並びに各州の科学カリキュラムにおける目的・目標をめぐる実態の解明(一部)が達成されているため。
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今後の研究の推進方策 |
各州の科学カリキュラムにおける目的・目標をめぐる実態の解明について、対象とする州の範囲をさらに拡大して分析を行う。加えて、コンピテンシー指向の科学教育の目的・目標を導出する基盤となり得るコンピテンシーモデル構築に関して、多面的な分析を加える。そして、それまでに得られた諸知見を統合し、コンピテンシーによる科学教育の目的・目標設定の諸相を構造的に明らかにしていく。
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