研究課題/領域番号 |
12J01152
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤井 敦大 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | (Mg,Fe)O / antiferromagnetic |
研究概要 |
本研究は地球下部マントル鉱物(Mg1-XFeX)0の磁気転移における組成依存性及び圧力依存性を測定している。また、(Mg1-XFeX)0の端成分であるFeOは反強磁性転移とB1-rhombohedral構造相転移の関連性が議論されている。そこで本研究では、常圧下における磁気秩序の組成依存性及び反強磁性転移の圧力依存性について調べ、反強磁性転移と構造相転移の関連性について考察を行った。研究計画ではダイヤモンド・アンビル・セルでの超高圧下での磁性測定を予定していたが、常圧下や低圧下での磁性を理解していないと正確な考察ができないので、低圧側でより詳細な実験を行うことにした。磁化測定には超伝導量子干渉計(SQUID)、圧力発生にはピストンシリンダー型圧力セルを用いた。常圧下では、零磁場冷却及び磁場冷却した後の昇温過程での帯磁率(χ)の温度(T)依存性、χ-T曲線の磁場依存性、交流帯磁率の温度依存性を測定した。その結果、(Mg1-XFeX)O(X≧0.60)では反強磁性転移、さらに低温でリエントラントスピングラス転移が観測された。一方(Mg1-XFeX)O(X≦0.50)ではスピングラス転移のみが観測された。またすべての組成範囲に渡って超常磁性クラスターの存在を示唆する挙動が見られた。反強磁性転移の圧力依存性測定は(Mg0.30Fe0.70)O、(Mg0.25Fe0.75)O、(Mg0.20Fe0.80)Oの組成について行った。測定した反強磁性一常磁性相境界を室温下まで外挿すると、(Mg0.25Fe0.75)Oと(Mg0.20Fe0.80)Oでは先行研究で報告されている準静水圧下でのB1-rhombohedral構造相転移条件と良く一致する。よって(Mg1-XFeX)O(X≧0.75)のrhombohedral構造歪は反強磁性秩序によって引き起こされると考えられる。 また高エネルギー加速器研究機構で高圧下X線吸収測定やメスバウアー分光法の手法開発に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はダイヤモンド・アンビル・セルを用いた超高圧下磁化測定の手法開発を行う予定であったが、それまで行っていた常圧下での測定やピストンシリンダー型圧力セルを用いた測定に再考すべき点が見つかり、そちらを優先したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は計画通りダイヤモンド・アンビル・セルを用いた磁化測定手法の開発を行う。また、超伝導量子干渉計に使用する液体ヘリウムが供給不安定になると予想されるため、超伝導量子干渉計以外の磁化測定手法についても開発していく。
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