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2012 年度 実績報告書

革新的蛍光ラベル化法に基づくタンパク質の高感度イメージングとその創薬研究への応用

研究課題

研究課題/領域番号 12J01172
研究機関東京大学

研究代表者

平林 和久  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード蛍光プローブ / pHプローブ
研究概要

当研究室において新たに開発された赤色蛍光団TokyoMagenta類を母核として、その誘導体化とpH依存性の精査を行った。2-Me TM(TM=TokyoMagenta)にクロル原子あるいはフッ素原子を導入することによって生理的条件(pH7.4)における蛍光特性がより優れた誘導体となることを見出し、その効率的な合成法を確立することに成功した。またフッ素原子を導入した際には酸性においても大きな蛍光量子収率を示し、2-Me TMと比較して高感度なレシオ型pHプローブとなることが明らかとなった。これは今回開発を目指す受容体の内在化をとらえるペプチドタグ検出蛍光プローブの母核としても適した性質である。
これらと並行して水溶性のカルボキシル基を有する2-COOH TM類の合成及びその光化学的特性の精査を行った。その結果、2-COOH TM類はTokyoMagentaの基となった緑色蛍光色素フルオレセインと比較して、スピロラクトン構造を形成しやすいという特徴的な性質が明らかとなった。そこで、2-COOH TMのpH依存性を精査し、さらに様々な誘導体との比較検討を行うことで、2-COOH TMの詳細な化学平衡式を推定することに成功した。得られた知見に基づき、ハロゲン原子を導入した2-COOH TM誘導体を合成することで、生理的条件(pH7.4)において強蛍光性の分子構造の存在比を高めることにも成功した。
今回開発した新たなTokyoMagenta誘導体と、その特性を精査することで得られた知見は、ペプチドタグ検出蛍光プローブのみならず、今後多くの赤色蛍光プローブ開発に用いられ、分子細胞生物学の発展に大きく貢献すると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

蛍光プローブの母核として用いるTokyoMagenta類の特性の精査とTokyoMagenta類を母核としたpHプローブの開発に成功し、ペプチドタグ検出蛍光プローブ開発のみならず、様々な赤色蛍光プローブ開発に用いることができる有用な知見を得るに至ったため。

今後の研究の推進方策

今回開発に成功した2-COOH TM類は細胞内で局在を示さず、水溶性が高いという、赤色蛍光プローブの母核として非常に優れた性質を有しているため、これを母核として、様々な赤色蛍光プローブの開発を行う。具体的にはペプチドタグ検出蛍光プローブに加えて、カルシウムイオン、一酸化窒素を標的とした蛍光プローブ開発を行う。
これらは生理的に重要であり、緑色蛍光プローブによる検出は行われているものの、有用な赤色蛍光プローブは依然として開発されていない。これらに対する赤色蛍光プローブが開発できれば、他の生理活性物質に対する緑色蛍光プローブと併用したマルチカラーイメージングによって、これら分子の挙動を同時に解析することが可能となるため、その開発には大きな意義がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Red Fluorescence Probe for Monitoring Dynamics of Cytoplasmic Calcium Ion2013

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Egawa, Kazuhisa Hirabayashi, Yuichiro Koide, Chiaki Kobayashi, Naoya Takahashi, Tomoko Mineno, Takuya Terai, Tasuku Ueno, Toru Komatsu, Yuji Ikegaya, Norio Matsuki, Tetsuo Nagano, and Kenjiro Hanaoka
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 52 ページ: 3874-3877

    • DOI

      10.1002/anie.201210279

    • 査読あり
  • [学会発表] ケイ素置換フルオレセインの開発と赤色蛍光プローブへの展開2013

    • 著者名/発表者名
      平林和久、花岡健二郎、土岐裕子、江川尭寛、長野哲雄
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川県
    • 年月日
      2013-03-28
  • [学会発表] Development of an off-on fluorescence probe for selective labeling of proteins based on hexahistidine tag2012

    • 著者名/発表者名
      平林和久、花岡健二郎、下西学、長野哲雄
    • 学会等名
      Program for Young Researcher Symposium in Europe' supported by Graduate School of Pharmaceutical Sciences, U-Tokyo
    • 発表場所
      ケンブリッジ、イギリス
    • 年月日
      2012-06-07
  • [産業財産権] 蛍光プローブ2013

    • 発明者名
      長野哲雄、花岡健二郎、平林和久、土岐裕子
    • 権利者名
      東京大学
    • 産業財産権番号
      特許、PCT/JP2013/053662
    • 出願年月日
      2013-02-15
    • 外国
  • [産業財産権] 蛍光プローブ2013

    • 発明者名
      長野哲雄、花岡健二郎、平林和久
    • 権利者名
      東京大学
    • 産業財産権番号
      特許、特願2013-42346
    • 出願年月日
      2013-03-04

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公開日: 2014-07-16  

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