研究課題/領域番号 |
12J01182
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡崎 匡志 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 結晶融解模型 / 超対称境界条件 / 弦理論 / M理論 / ブレーン / 双対性 / Lagrangian部分多様体 / 正則部分多様体 |
研究概要 |
本年度は研究実施計画に記載した「結晶融解模型の理解に対する新しい手法」として「3次元N=2超対称理論の超対称境界条件」を大阪大学の山口哲氏と共同研究した。超対称境界条件とは境界を持った超対称理論が境界上で超対称性を保つための条件を意味し、以下のような応用を持っている: 1.弦理論やM理論に現れる弦や膜の端に付いた高次元物体の記述 2.場の量子論における双対性の理解 3.ドメーンウォール構成 1は本研究課題「弦理論の理解」において鍵を握るとされている対象(ブレーン)と関連している点で本研究に極めて重要である。特に本研究の3次元理論の超対称境界条件は弦理論を統一的に理解するとされるM理論に現れる膜理論と関係している。2は本研究課題のキーワードに含まれている「非摂動的」性質の理解に役立つ点で重要である。3は最近理解が進んでいるd次元超対称理論と(6-d)次元多様体の関係を一般化するのに役立つので、本研究の新しい手法を与えるという点で重要である。こうした研究は2次元超対称理論に対して初めてなされ、その後4次元超対称N=4理論に対して行われており、多くの理解が得られているが、我々が今回着目した3次元超対称理論に対してはほとんど理解されていない。本研究で我々はこうした未解決問題に対して次の結果を初めて見出した。 1.3次元N=2超対称理論の超対称境界条件はM理論に現れるような膜の端に付いた高次元物体を記述し、保存する超対称性の型に依存してその物体はLagrangian部分多様体あるいは正則部分多様体となる。 2.3次元N=2超対称理論において知られている特殊なクラスの双対性が超対称境界条件のレベルでも成り立つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で得られた結果を2012年9月に日本物理学会にて発表し、2013年3月に論文を投稿し、4月は多数の日本の大学で本研究に関するセミナーを行う予定である。また同年10月より委託生として研究拠点をCalifornia工科大学に移し、世界でも多数の専門家達が集まる環境で研究を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
委託生として2012年10月から2013年9月までCalifornia工科大学で研究する予定であったが、期間を2014年9月まで延長して研究を進行する予定である。従って本研究課題を進行するにあたって日本の研究機関と海外の研究機関の間を移動するための多額の旅費が必要になることが見込まれる。科研費で補えない旅費は研究機関の補助を利用することを計画している。
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