研究課題/領域番号 |
12J01196
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
川間 大介 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | J-PARC / 高運動量ビームライン / FPGA / Geant4 |
研究概要 |
J-PARCの高運動量ビームラインで行われる予定のE16実験に向けて前年度に引き続きソフトウェアの開発、トリガー信号用モジュールのファームウェアの開発を行った。前者はGeant4を用いた実験全体の検出器を配置したモンテカルロシミュレーションおよびそのデータを用いた粒子の飛跡検出コードである。このシミュレーションを用いて本実験における粒子の質量分解能の詳細な見積もりや実験エリアにおけるバックグラウンド粒子の見積もりなどを行った。現在E16実験の検出器の基礎開発はほぼ終了し、実験に向けて量産体制に入っているが、これら検出器の最終的な仕様を決定する際にこの見積もりは非常に重要な役割を果たした。 また、後者は本実験の非常に高計数率な環境下(最大5kHz/mm^2)でのデータ取得を実現するためのトリガー信号を処理するデバイスのファームウェアである。このような高い計数率下の実験では必然的に多チャンネル読み出しの検出器を使用せねばならず、またそれらのフロントエンドデバイスから出力されたデジタル信号をできるだけ高速で処理することが求められる。我々はこのような要求に対してFPGAを用いたモジュールを新たに設計し、私は主にそのファームウェア開発を担当している。現在開発しているのはトリガー信号の中継部分のモジュールのロジックであり、検出器から送られてくる合計約2600チャンネル(1モジュールあたり約80チャンネル)のロジック信号を約300ns程度で中継処理して後段のトリガー最終決定用のモジュールに送るためのファームウェア開発である。このようなモジュールは本実験のような多チャンネルを扱う実験では必須である。またFPGAを用いているので必要に応じてファームウェアの改版ができ、汎用性のあるモジュールであると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験全体としては今年度までに検出器の量産化に向けた基礎設計がほぼ完了したので、これは概ね予定通りである。ただし、当初計画していたような来年度のデータ収集はビームライン建設が予定より遅れていることもあり達成できる見通しはほぼなくなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに実験に必要な検出器の基礎設計は完成し、量産を待つばかりとなったので、来年度は主にデータ取得システムの開発を行う。現在開発中のファームウェアの他、より後段のトリガーを最終的に決定するモジュールのファームウェア開発も行う。また、実験時に迅速なデータ解析を行うためのデータ解析ソフトウェアの開発も行う。
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