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2013 年度 実績報告書

白血病幹細胞のNotchを中心とした分子病態の解明とその検査法、標的治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12J01270
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

奥橋 佑基  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード白血病 / 臨床血液学 / シグナル伝達系 / siRNA
研究概要

今年度は研究実施計画に基づき、Notch関連遺伝子のsiRNAを用いて、白血病細胞の分化、増殖への効果、タンパクおよび遺伝子発現量の変化を解析した。【目的】siRNAを用いたNOTCH1とNOTCH2の遺伝子発現の抑制の、白血病細胞の細胞増殖と下流のシグナル伝達系に対する効果を解析した。
【材料と方法】急性Tリンパ芽球性白血病(T-ALL)細胞株2種と急性骨髄性白血病(AML)細胞株2種の細胞株に対し、NOTCH1、NOTCH2を標的としたsiRNAを導入した。ノックダウンの細胞増殖とタンバク質発現に対する効果は、比色法WST-8アッセイとイムノプロット法を用いて解析した。
【結果】T-ALL細胞株において、NOTCH1のノックダウンはNOTCH2のノックダウンと同様に細胞増殖抑制効果を示し、アポトーシスを誘導した。MYCタンパク発現壁はNOTCH1をノックダウンした細胞では減少したが、NOTCH2をノックダウンした細胞では変化がみられなかった。AML細胞株では、NOTCH1とNOTCH2のノックダウンは, 細胞増殖に有意な変化は起こさなかった。また、NOTCH2のノックダウンはNotch1蛋白の発現を増加させることなく活性型Notch1断片を増加させた。
【考察】本研究より、NOTCHのノックダウンがNOTCH1変異をもつ2種のT-ALL細胞株の増殖を抑制させることを示した。NOTCH siRNAがT-ALL細胞株のDND-41とKOPT-K1の増殖を抑制することを示した研究は本研究が初である。
我々が知る限りT-ALLにおけるNotch2の役割はまだ報告されていない。本研究から、NOTCH2変異をもたないT-ALL細胞が、NOTCH1のノックダウンだけでなく、NOTCH2のノックダウンによっても細胞増殖が抑制されたことを見出した。
【結論】Notchシグナリングにおけるこれらの新しい知見は、白血病に対して有効なNotchを標的とした分子標的治療薬の開発や分子生物学的検査法の確立の基礎となることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画に沿って順調に研究が進展し、本研究の目的である白血病細胞におけるシグナル伝達系の分子機序の一端を明らかにすることができた。その結果、白血病に対する新たな分子標的治療開発の基礎となる知見が得られた。

今後の研究の推進方策

本研究から、Notch1だけでなく、Notch2も白血病細胞の増殖に関与していることが明らがになったが、その分子機序はまだ明らかになっていない。よって、白血病細胞の増殖におけるNotch1、Notch2の機序と役割を解析し、その細胞特性を解明する必要があると考える。さらに、Notchシグナル阻害剤の増殖抑制効果が白血病幹細胞や患者由来の白血病細胞にも当てはまるか否かを調べ、症例ごとの薬剤感受性検査法を樹立する必要がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] NOTCH Knockdown Affects the Proliferation and mTOR Signaling of Leukemia Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Okuhashi Y, Itoh M, Nara N, Tohda S.
    • 雑誌名

      Anticancer Research

      巻: 33 ページ: 4293-4298

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of the HIF1 inhibitor, echinomycin, on growth and NOTCH signalling in leukaemia cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Yonekura S, Itoh M, Okuhashi Y, Takahashi Y, Ono A, Nara N, Tohda S.
    • 雑誌名

      Anticancer Research

      巻: 33 ページ: 3099-3103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparative Effects of PP242 and Rapamycin on mTOR Signalling and NOTCH Signalling in Leukemia Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Ono A, Oike R, Okuhashi Y, Takahashi Y, Itoh M, Nara N, Tohda S.
    • 雑誌名

      Anticancer Research

      巻: 33 ページ: 809-813

    • 査読あり
  • [学会発表] Effects of NOTCH Knockdown on the Proliferation and mTOR Signaling of T-ALL and AML Cell Lines.2013

    • 著者名/発表者名
      Yuki Okuhashi, Mai Itoh, Nobuo Nara, Shuji Tohda.
    • 学会等名
      55^<th> ASH Annual Meeting and Exposition.
    • 発表場所
      New Orleans, U.S.A.
    • 年月日
      2013-12-09
  • [学会発表] Effects of Hypoxia on HIF, Notch, Akt, and NF-κB Signaling in Leukemia Cell Lines.2013

    • 著者名/発表者名
      Mai Itoh, Yusuke Takahashi, Yuki Okuhashi, Shuji Tohda.
    • 学会等名
      55^<th> ASH Annual Meeting and Exposition.
    • 発表場所
      New Orleans, U.S.A.
    • 年月日
      2013-12-07
  • [学会発表] Notchを標的とするsiRNAを用いた白血病細胞の増殖に対する効果の検討2013

    • 著者名/発表者名
      奥橋佑基, 高橋祐介, 伊藤真以, 東田修二
    • 学会等名
      第60回 日本臨床検査医学会学術集会
    • 発表場所
      兵庫県、神戸市
    • 年月日
      2013-11-03
  • [学会発表] 白血病細胞の生存に対するHIF蛋白の役割2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤真以, 奥橋佑基, 高橋祐介, 東田修二
    • 学会等名
      第60回 日本臨床検査医学会学術集会
    • 発表場所
      兵庫県、神戸市
    • 年月日
      2013-11-03
  • [学会発表] 白血病細胞におけるEph/ephrin系とNotch系との相互作用2013

    • 著者名/発表者名
      高橋祐介, 奥橋佑基, 伊藤真以, 東田修二
    • 学会等名
      第60回 日本臨床検査医学会学術集会
    • 発表場所
      兵庫県、神戸市
    • 年月日
      2013-11-03
  • [備考]

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/med/mlab/malb-J.html

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公開日: 2015-07-15  

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