研究課題/領域番号 |
12J01273
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡野 淳一 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | トビケラ / ニッチ構築 / 河川生態系 / 動物群集 / 営巣行動 |
研究概要 |
本研究は、トビケラの(1)営巣行動(ニッチ構築)の種内地理的変異および可塑性が及ぼす、河床の安定化・流下有機物量への影響、底生動物群集への影響を、野外調査と操作実験を組み合わせ検証することを目的としている。 2012年度は、(1)営巣行動(ニッチ構築)の種内地理的変異および可塑性、および(3)底生動物群集への影響を調査した。 (1)地質特性の異なる数河川において、ヒゲナガカワトビケラを採取した。実験室内での飼育実験を行い、これら異なる河川間での営巣行動を比較したところ、営巣場所の選択に違いがあることが分かった。また餌捕獲網に可塑的な変異があることも明らかになった。営巣による環境改変の研究例は数多いが、営巣行動の違いに着目した例はほとんどなく、本結果は今後のニッチ構築研究の新しい視座を与えうる。 (3)同所的に生息する底生動物の採集を行った。動物群集、および構成種の体サイズ・身体部位を測定した結果、河川間で違いがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、(1)実験室で流路による造網性トビケラの飼育実験を行い、個体レベルのトビケラの造網行動を、カメラ撮影によって観察する、(2)同所する底生動物の群集構造と体表形質を調べる、ことを2012年度の計画としていた。実際には、いずれの調査も行い、それぞれに河川間での違いも見られた。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、トビケラの営巣行動に違いが見られたが、この営巣の変異が、どのような河川環境によって引き起こされているか、得に地質環境が本当に関わっているか、を明らかにすることが2013年度以降ゐ課題となる。また、群集の違いについても、トビケラ営巣の変異との関連性があるかを実証することが2013年度以降の課題となった。 これらの対応関係を明らかにするためには、室内での操作実験が必要となるが、それには群集構成種とともに継続飼育できる環境を再現する必要がある。そこで今後は、より大規模な流路(路長2メートル~)を作成することで、これを可能とする予定である。
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