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2014 年度 実績報告書

近世絵画における宗教表現の研究 - 「地獄極楽めぐり図」を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 12J01304
研究機関大阪大学

研究代表者

曽田 めぐみ  大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード河鍋暁斎 / 地獄極楽めぐり図 / 幕末明治 / 摩耶夫人 / 釈迦誕生図 / 粉本学習 / 模倣と創造
研究実績の概要

本研究の目的は日本近世絵画に描かれた「いのりのかたち」に焦点を絞り、江戸時代の庶民信仰の様相を美術史の視点から明らかにするものである。
本研究課題の主軸をなす河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」(静嘉堂文庫美術館蔵)は、暁斎の有力なパトロンであった勝田五兵衛の娘、田鶴が夭折した際に追善供養のため制作された作品である。最終年度においても引き続き「地獄極楽めぐり図」研究を行い、河鍋暁斎記念美術館のご協力を得ながら口頭発表や論文執筆を通じて研究成果を発表した。
本年度の研究成果として第一にあげられるのが、「地獄極楽めぐり図」において田鶴が摩耶夫人に見立てられている事を指摘した点であろう。この点については拙稿「河鍋暁斎筆『地獄極楽めぐり図』について(四) ―田鶴に投影された摩耶夫人の表象」(『河鍋暁斎研究誌 暁斎』第115号、河鍋暁斎記念美術館、2015年1月)にまとめた。本稿では中でも本作第三十八図「田鶴の極楽往生」に注目している。本図は田鶴が浄土に達した場面を描いたものだが、その構図やモチーフは伝統的な浄土図と趣が異なる。研究を進めていく中で、摩耶夫人がルンビニ園で釈迦を出産した様を描いた「釈迦誕生図」の構図やモチーフを基盤として、本作第三十八図が描かれたことがわかってきた。「釈迦誕生図」は版画や粉本を通じて江戸時代に広く流布したことは既によく知られており、河鍋暁斎記念美術館所蔵の粉本「中国仏閣図」も実際には「釈迦誕生図」を描いたものであることが本研究によって明らかにされ、ここに描かれた摩耶夫人の姿勢や表情が「地獄極楽めぐり図」第三十八図の田鶴と著しく類似することが判明した。
以上、三年間の採用期間を通じ、全40図からなる「地獄極楽めぐり図」を一図ずつ解明していくことで、江戸時代における宗教表現の研究を遂行した。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」について(四) ―田鶴に投影された摩耶夫人の表象2015

    • 著者名/発表者名
      曽田めぐみ
    • 雑誌名

      河鍋暁斎研究誌 暁斎

      巻: 115 ページ: 208-213

  • [雑誌論文] 歌川国芳「源頼光公館土蜘作妖怪図」における図像と構想の源泉をめぐって2014

    • 著者名/発表者名
      曽田めぐみ
    • 雑誌名

      東京国立博物館研究誌 MUSEUM

      巻: 653 ページ: 7-32

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」について(三) ―「賽の河原」に描かれた赤い欄干に注目して2014

    • 著者名/発表者名
      曽田めぐみ
    • 雑誌名

      河鍋暁斎研究誌 暁斎

      巻: 113 ページ: 100-103

  • [学会発表] 河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」について(五) ―第三十七図「極楽行きの列車」と下絵との比較を通して2015

    • 著者名/発表者名
      曽田めぐみ
    • 学会等名
      第36回暁斎研究発表会
    • 発表場所
      河鍋暁斎記念美術館(埼玉県蕨市)
    • 年月日
      2015-02-15
  • [学会発表] 河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」について(四) ―田鶴に投影された摩耶夫人の表象2014

    • 著者名/発表者名
      曽田めぐみ
    • 学会等名
      第35回暁斎研究発表会
    • 発表場所
      蕨眼科レクチャールーム(埼玉県蕨市)
    • 年月日
      2014-09-28

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公開日: 2016-06-01  

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