研究課題/領域番号 |
12J01315
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
佐藤 悟 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 特別研究員(PD)
|
キーワード | 金属間結合 / 両極性導電体 / ヘテロジャンクション / 白金錯体 / フラーレン / ペリレンジイミド |
研究概要 |
本研究は、パイ系金属錯体とアクセプター分子とのハイブリッド化により、極めて高い両極性キャリア移動度をもった新規有機導電体材料の創製を目的としている。分子間での白金金属間の相互作用を利用することで、p/nヘテロジャンクション構造を有する集積構造を構築し、これまでにない全く新しい極めて優れた両極性導電材料の開発を目指す。 1.フラーレンと白金錯体とのダイアッド合成による両極性導電材料の開発を検討した。ダイアッド合成のため、p型半導体特性および金属間結合を導入する鍵となる白金錯体は、種々の有機溶媒に可溶であり電荷的に中性のものを用いる必要がある。そこでピンサー型の配位子を用いた白金錯体によるダイアッド合成を検討した。白金錯体ヘアルデヒド基の導入を目的とした配位子置換反応、さらにピンサー型白金錯体とフラーレンとのカップリング反応、1,3-双極子環化付加反応の検討を行なった。 2.ペリレンジイミドは優れた電子アクセプター分子であり、OFETやOPVにおけるn型半導体材料として期待されている。ペリレンジイミドと白金錯体を用いたダイアッド合成のため、ペリレンジイミドのイミド部位へ白金錯体の導入を指向し、その前駆体としてペリレンジイミド誘導体の合成を行なった。 3.カチオン性と中性、電荷の異なる2種類の白金錯体を組み合わせることで、新しい集積体の構造、物性解明を目的とし、共結晶化を検討した。共結晶作成には至っていないが、電荷の異なる白金錯体のキャスト膜では、それぞれ単独および両者の混合物で異なる色を示し、混合物中で2種類の白金錯体同士の相互作用が存在することを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
金属間結合、両極性を示す鍵となる白金錯体部位の合成には成功したが、アクセプター分子とのダイアッド合成反応における生成物の溶解性が極めて低く、キャラクタリゼーションに至っていない。溶解性向上のため、官能基化を検討したため、進行に遅れがでている。
|
今後の研究の推進方策 |
パイ系金属錯体とアクセプター分子とのダイアッド合成を引き続き検討する。平成24年度は前駆体の合成を達成した。目的化合物であるダイアッドの合成を行い、物性評価を遂行する。導電材料への展開するためには、構造およびデバイス特性を明らかにする必要がある。集積体の詳細な構造をX線解析、電子顕微鏡による各種測定により明らかにする。また集積体の固体物性を明らかにするため、time-of-flight(TOF)法やFET法により、電荷輸送特性の評価を行なう。
|