研究課題/領域番号 |
12J01401
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田川 道人 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 牛 / ヘモプラズマ / エペリスロゾーン / リスク要因 / PCR / Mycoplasma wenyonii / Mycoplasma haemobos / 小型ピロプラズマ |
研究概要 |
PCRの鋳型に末梢血液を直接用いるDirectPCR法に注目し、従来のPCR法と感度、所要時間、費用を比較した。その結果、新規に開発したDirectPCR法は従来法と比較し10倍高感度であり(検出限界:5copies/μ1)、所要時間および費用を削減することが可能であった。 前述のDirectPCR法を用い、十勝管内および釧路管内の3農場と1放牧地に飼養される牛の末梢血液計343検体から牛ヘモプラズマの検出を行い、そのリスク要因の検討を行った。採取地間でヘモプラズマの陽性率に差が認められ、飼養形態の比較では放牧地に飼養される牛と比較し、農場で飼養される牛で有意に高いヘモプラズマ陽性率を示した。また、年齢別の陽性率では1才未満が最も陽性率が低く、1~3才で最も陽性率が高くなり、以降は漸減した。牛白血病ウイルス感染の有無はヘモプラズマ感染に影響を与えなかった。血液性状の比較では'C.肱haemobos'の病原性が最も強く、混合感染が中間であり、M.wenyoniiの病原性が最も弱かった。 北海道標茶町の2放牧地に飼養される牛90頭の経時採血を行ったところ、小型ピロプラズマ単独感染群と比較し、小型ピロプラズマとヘモプラズマの混合感染群の貧血および小型ピロプラズマ寄生度は軽度であった。野外例においても小型ピロプラズマとヘモプラズマの間に干渉現象が存在することが示唆された。 十勝管内の1農場に飼養されるホルスタイン乳牛93頭をヘモプラズマ陽性群と陰性群に大別し乳量、子牛の出生時体重等の比較を行った。その結果、ヘモプラズマ陽性群の乳量は陰性群と比較し有意に低下していた。また子牛の出生体重はヘモプラズマ陽性群で有意に低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りではないが、順序立てて計画を遂行できていると考えるため
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今後の研究の推進方策 |
現在、牛に近縁であり、生活圏も近接するエゾシカにおけるヘモプラズマ調査を行っている。サンプル数が限られているため、今後学内の教員にサンプルを譲渡していただくなど対策が必要である。同様に羊においても調査を計画中である。また、沖縄県における牛ヘモプラズマの浸潤状況について検索、報告を行う予定である。
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