研究課題
【背景・目的】鳥由来ウイルスであるH5N1ウイルスの人への感染・死亡例は依然増え続けている。近年、日本でもH5N1ウイルスが野鳥から分離されており、これらのウイルスがヒトに伝播する可能性がある。そこで、これらのウイルスがヒトに伝播した際の病原性の評価を行うために、マウスモデルを用いて病原性の解析を行った。平成24年度および平成25年度に、病原性が大きく異なるA/mandarin duck/Kochi/3901C005/2011株(以下、Kochi株:病原性が強い株)およびA/common pochard/Hyogo/2801B004/2011株(以下、Hyogo株:病原性が弱い株)を選択した。さらに、遺伝子組み換えウイルスを用いた解析により、選択した2株の病原性の違いは、Kochi株のPB2タンパク質に起因することを明らかにしてきた。本年度は、病原性に関与しているアミノ酸を同定することを目的とし、実験を進めた。【結果・考察】病原性の強いKochi株と病原性の弱いHyogo株のPB2タンパク質は3か所アミノ酸(202番目、271番目、491番目)が異なる。そこで、今年度は病原性の弱いHyogo株のPB2分節に変異を導入したウイルスを作出し、マウスにおける病原性を比較した。その結果、PB2タンパク質の202番目のメチオニンと491番目のスレオニン、271番目のメチオニンと491番目のスレオニンまたは、271番目のメチオニンと491番目のスレオニンの組み合わせがKochi株の高い病原性に寄与していることが明らかとなった。本結果は、高病原性鳥H5N1インフルエンザウイルスのサーベイランスをする上で、重要な指標となると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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