研究課題/領域番号 |
12J01544
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 細胞分化 / 非コードRNA / エピジェネティクス |
研究概要 |
本課題は哺乳類神経分化制御に関わるローカルなエピジェネティック制御機構を明らかにすることを目的としている。神経分化のモデル系としてはNGF刺激により神経細胞様に分化するラットPC12細胞を用い、プロモーターからアンチセンス方向に転写されるpromoter-associated noncoding RNA (pancRNA)に着目し研究を進めている。本研究の骨子は以下の二点に要約される。 [1] pancRNAを介したローカルなエピジェネティック制御機構の解明 前年度までにマイクロアレイのデータをもとにした解析からは、未分化PC12細胞特異的なpancRNAセットは同定できていたが、分化PC12特異的なpancRNAは同定することができていなかった。今年度はより検出可能なダイナミックレンジが大きく、エラー率の低い、ダイレクショナルトランスクリプトーム解析を行った結果、PC12分化過程でpancRNA, 遺伝子ともに有意に発現上昇している38の遺伝子領域を同定することができた。一方、pancRNA、遺伝子がともに有意に発現減少している領域は116あった。 [2]細胞の分化記憶決定機構へpancRNAが果たす役割の解明 PC12細胞はNGF刺激のみでは、分化後に未分化細胞培養条件にもどしてやると神経突起が収縮し、細胞周期が再び復活するが、NGFに加えてcAMPを分化メディウムに加えてやると、未分化細胞培養条件に戻しても細胞周期は復活せしない。本年度はダイレクショナルトランスクリプトーム解析より、NGFのみで分化させた場合と比較して、cAMPによる分化記憶固定後のPC12細胞において、有意に発現の高いpancRNAをもつ38の遺伝子領域を同定した。さらにこれらの遺伝子群がPC12の分化記憶決定を左右しない場合も想定し、NGFのみで分化させた場合と比較して、cAMPによる分化記憶固定後のPC12細胞において有意に発現の高い1659のpancRNAを持たない遺伝子領城を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トランスクリプトーム解析におけるノンコーディングのRNAの解析パイプラインは明確には固定されていない、そのため今年度中に同定したpancRNAの機能解析を行う予定であったが周に合わなかった。しかしpancRNAの同定ま, では既におわっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同定したノンコーディングRNAに対してレンチウィルスを用いたノックダウン系により機能解析を行っていく。また、PC12細胞の分化においてpancRNAの発現変化による寄与が大きくない場合も考え、細胞状態特異的なmRNAがPC12細胞の分化に対して影響を与えるのかどうかも調べていく。
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