研究課題/領域番号 |
12J01565
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
谷川 卓 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(PD)
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キーワード | 分析形而上学 / 因果的効力 / 性質 / メタ形而上学 / 様相 / デイヴィド・ルイス / ソール・クリプキ / ヒューム主義 |
研究概要 |
本年度は、形而上学方法論の検討を中心に研究を進めた。これは、本研究が最終的に提示する形而上学的見解(性質と因果的効力の関連性についての見解)を正当化する方法の確立を狙いとしている。研究を進めるにあたっては、形而上学とはどのような営みなのかを検討するメタ形而上学の成果を主として参考にした。その結果、哲学者デイヴィド・ルイスが提示したラムジー的謙遜性をめぐる議論を踏まえたうえで、組み合わせ原理と通性原理(これらは、性質の因果的効力に関する哲学的見解として本研究が最終的に擁護することをめざす基盤主義と呼ばれる立場にとって、必要な原理である)と呼ばれる形而上学的原理を正当化するためには、哲学者ソール・クリプキの見解に反対する仕方で様相認識論を展開する必要があるということを確認した。この成果は、現在きわめて有力視されているクリプキの見解に疑義を提起しているがゆえに、哲学的な意義を持つものとなっている。また以上の論点を確認するなかで得られた知見を、真理の概念の検討に利用することも試みた。とくに、近年注目を集めている「トゥルースメイカー」という考え方が形而上学的にどのような特徴を備え、また問題を抱えているのかを明確化することを試みた(この研究成果の一部を、三田哲学会シンポジウムにて報告した)。さらに、以上の研究を進めるなかで、現代形而上学におけるヒューム主義の主張を整理・検討する必要があることを確認した。次年度では自然法則の形而上学的身分(とくに様相的な身分)について検討する予定であるが、それと関連させる形で、ヒューム主義の主張の検討も行うことになる。本年度の研究で得られた成果は、論文としてまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ラムジー的謙遜性というテーゼをめぐる議論の検討を通じて、形而上学方法論に関して一定の結論を得た。これは、研究の最終段階で提示する哲学的検討の基礎づけをめざすためにメタ形而上学の検討を行うという当初の計画に沿ったものである。なおこの成果は現在論文としてまとめているところであり、近々学会誌に投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進めるなかで、ヒューム主義の主張を整理・検討する必要があることを確認した。これは当初予期していなかった成果であるが、この成果はむしろ今後の研究にとっての基礎の一つになると考えている。次年度では自然法則の形而上学的身分について検討する予定であるが、この研究をヒューム主義の検討と関連させながら遂行することになる。したがって今後の研究では、ヒューム主義的形而上学の基本的主張の明確化、およびそれを踏まえての自然法則の身分についての検討を通じて、性質と因果的効力の関係の明確化をめざすことになる。
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