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2013 年度 実績報告書

性質の因果的効力に関する分析形而上学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12J01565
研究機関埼玉大学

研究代表者

谷川 卓  埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(PD)

キーワード定言主義 / 傾向性主義 / 現代形而上学 / 因果性 / 様相 / 自然法則 / ヒューム / 性質論
研究概要

本年度は、現代形而上学における重要論争のひとつである、定言主義と傾向性主義のあいだの論争に着目して研究を進めた。本研究のねらいのひとつは定言主義を擁護することにあるので、論争を整理しながら、定言主義擁護のための方略を探った。整理の結果、当の論争はつぎの三つの論点をめぐる論争として捉えなおせることを確認した。
1. 空間的性質および構造的性質の身分をどのように考えるか
2. 通性(quiddity)と呼ばれるものをどのように考えるか
3. 自然法則の様相的身分をどのように考えるか
このうちとくに3の自然法則をめぐる論点を中心に検討し、その検討のなかに1と2の論点の検討を取り入れるようにした。そのさいとくに重点的に取り組んだのは、現代における代表的な傾向性主義者であるアレクサンダー・バードの畿論を批判的に検討することであった。一連の検討の結果、定言主義を擁護するには「思考可能性(conceivability)は可能性(possibility)を含意する」というテーゼを擁巡する必要があることを確認した。この点は本研究がヒューム主義的形而上学の流れのなかにあることを示している。このことから本研究が、現代形而上学のもうひとつの潮流であるアリストテレス主義的形而上学と対照をなすものであることも確認した。以上の成果については、現在論文を作成中である。
また本年度は、現代形而上学の若手研究者ほか三名と共著で、『ワードマップ現代形而上学』を出版した。本報告者は「様相」と「因果性」の章の執筆を担当している。現代形而上学の入門書であるが、本研究において得られた成果も積極的に取り入れてある。
さらに受入研究者である加地大介教授の指導のもと、現代形而上学の重要著作の翻訳プロジェクトにも参加しており、それに関連する作業も進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のねらいのひとつは定言主義を擁護することにあったが、本年度の研究でそのねらいを果たすための課題を明確にすることに成功し、かつ、その課題を解決するための基本的方針を得ることもできた。この成果について論文をまとめる見込みがたっていること、また本年度に出版した共著書においてその研究成果を部分的に取り込むことができたことから、「おおむね順調に進展している」と判断する。

今後の研究の推進方策

次年度の研究では. これまで得られた研究成果のとりまとめを行う。一年目の研究では形而上学方法論、二年目の研究では性質論に関してそれぞれ一定の結論を得ることができた。そのため次年度では、一年目の研究成果で得られた形而上学方法論にもとづき、二年目の研究成果で得られた性質論の見解を正当化する作業に着手する。またそれによって得られる成果を、ほかの形而上学的問題を検討するのに利用することも試みる。一例としては、穴の存在論(穴の因果的効力をめぐって議論がある)について、とくに穴の非実在説を擁護する観点から、検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考]

    • URL

      http://researchmap.jp/taku_tanikawa

URL: 

公開日: 2015-06-25  

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