研究概要 |
抑うつの問題を考える上で,「自己」に関する認知の問題は古くから指摘されてきた。中でも,持続的かつネガティブな自己への注目である「反鯛」は,うつ病の強力なリスクファクターであることが知られる。この反鯛的思考の生起には,われわれが日常的に行う活動(食事や対人的接触)が関係していることが経験的に知られているが,実際にどのような生活習慣やライフスタイルを形成することが反芻の防止につながるかについては不明な点が多い。こうした反鯛と日常的・社会的活動との関連を明らかにすることは,抑うつ予防法に対し直接的な示唆を与えるものと期待される。そこで,本研究では,日常場面における反鯛の機能を明らかにし,抑うつおよび関連疾患との関係を探るとともに,どのような日常的活動が反鯛的思考を阻害しうるのかを検討した。研究1では,1週間にわたり日常的活動と反鯛的思考のモニタリングを行い,食事や趣味に関する活動など,主観的に楽しいと認知される活動を行っているときには反鯛的思考が生じにくいこと,さらにその阻害効果は抑うつ的な人において特に大きいことを明らかにした。これらのことから,楽しい活動に従事する機会を増やすことが反鯛的思考の抑制につながり,ひいては抑うつの予防にとって重要であると考えられる。研究2では,反鯛と睡眠との関連を検討した。睡眠の問題は,抑うつの諸症状の中でも,生活習慣や社会的リズムのゆがみと関連し,日中の機能不全や活動性の低下に関るとされている。調査の結果,夜間に反葛的思考を多く経験した日ほど睡眠の質が悪化すること,そして悪化した睡眠の質は翌日の気分状態に影響を及ぼし,気力の低下につながることを明らかにした。以上2つの研究の結果から,日常的な活動が反鯛の予防に寄与する可能性,特に夜間の反鯛を回避することが睡眠の質を向上させ.翌日の活動件を高める可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の研究では,反鯛が日常場面においてどのように生起しているのか,その現象的理解を得るとともに,反鯛が精神的健康に及ぼす作用を明らかにした。いずれのデータも公表され,次年度に向けた反鯛予防のためのトレーニングの開発もすすんでいることから,計画通りかそれ以上の進展が得られたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により,日常場面で生じる反鯛的思考が心身の健康に対して悪影響をもたらしていることが明らかとなった。この結果を元に今後は,反鯛的思考の予防・低減にはどのような対処法・トレーニングが有効であるかを検討する。具体的には,反芻的思考の生起に関る認知バイアスの修正,生活習慣・ライフスタイルの改善といった多側面からアプローチを行う予定である。
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