私は、Hawking輻射によるbackreactionを含む、ブラックホールの形成から蒸発までを記述するself-consistentなモデルを作った。これを構築するために、輻射のS波のみに注目しeikonal近似を用いると、outgoing-Vaidya計量によって、semi-classical Einstein方程式はただ1つのエネルギー保存則になることを利用した。1つのnullshellが崩壊していく場合は、はじめは輻射が生じるが、途中で止まってしまい、backreactionを考慮しているにも関わらず、蒸発しない。このことは数値解と解析解で確認ができる。次に、連続的にnullな物質が崩壊していく場合を調べた。redshiftにより、各層に対する時間座標が指数関数的な形で中心の時間座標と関係しているおかげで、そこでのSchwarzschild半径の逆数で決まる温度のHawking輻射が各層から生じることがわかった。しかし、内部はredshiltの効果が大きいために、実質的には内部からの輻射は外に達せず、最外層の近傍からの輻射だけが遠くに届く。よって、このモデルは通常のHawkingの結果と同じく、最外層のSchwarzschild半径の逆数で決まる温度のHawking輻射に従って蒸発する。しかし、このモデルではhorizonを持たず、その内部には連続的なnul1物質が幾重にも層構造を成しているため、蒸発の様子は、あたかも玉ねぎの皮を剥くように、内部の薄いshel1が順々に蒸発していくことを示している。そのような連続的な内部解の計量を実際に書き下すことができる。それは、最外層からの輻射により時間的に全質量が減少しているにもかかわらず、静的な解になっている。もし最深部に1つのshellがあったら、1つのnull shellの崩壊の場合と同じ理由により、それは蒸発せずにSchwarzschildブラックホールとして残る。だが、その最深部のshellが軽ければ、そのhorizonやsingularity小さいので、それは弦理論的なモデルによって将来的には除去できると期待している。そのような物体を熱浴に入れて定常にすると、外部は Schwarzschild計量に接続されるような内部解を得た。それはhorizonをもたず、またLargeNにおいて、特異点を持たない。この解はself-consistentに構成したために古典極限を持たない。さらにこれはWeylanomalyも考慮するような解になっている。
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