研究概要 |
(1)有機配位子の合成 今研究ではN-Nitrosaminesからの一酸化窒素放出を利用したいと思い、ニトロ化反応でN-Nitrosaminesに変換できる2,5-bis(methylamino)terephthalic acidを配位子として使うために合成を行った。Diethylsuccinateから1)Claisen-Dieckmann condensation, 2)amination, 3)oxidation, 4)hydrolysisの手順で反応を行い、各反応で60-85%の州立で最終的に2,5-bis(methylamino)terephthalic acidの合成に成功した。 (2)PCPの合成とサイズの制御 細胞の中に導入するため、水の中でも安定なマイクロサイズの結晶としてUio-66と呼ばれるZr金属イオンで作られるPCPを今研究に利用する事にした。一般的なUiO-66の合成方法(ZrCl4と配位子をDMFにとかして120℃、24時間加熱)では結晶性が低く、サイズや形が一定でない粉末状態のPCPが得られた。そこでAngew. Chem. Int. Ed. 2009, 48 4739.、Chem. Mater., 2010, 22, 4531.に報告されている配位modulation方法を利用してPCPの合成を行った。酢酸をmodulatorとして使い、modulatorの量と反応溶液の濃度を調節し、一定のサイズや形を持つPCPの合成に成功した。結晶は正八面体の形で反応条件により、50nm~500nmの結晶が得られた。反応溶液の濃度が低くて大量のmodulatorを加えると小さい結晶が得られる結果になった。 (3)ニトロ化反応によるN-Nitrosamineの形成(一酸化窒素の導入) PCPにある配位子のアミンにニトロ化反応によるN-Nitrosamineの導入を行った。PCP結晶を水に拡散させてHCIとNaNO2水溶液を添加し3時間、室温で反応させた。電子顕微鏡とX線粉末回折で反応前後の結晶の形やサイズ、結晶性が変わっていないことを確認した。ニトロ基は赤外分光法測定で確認できた。ニトロ化反応後、2194.6cm-1でNNOのストレッチとみられるピークが現れてN-Nitrosamineが形成されたと考えられる。反応効率を確認するためにPCPを分解して配位子のNMR測定を行った。uio-66は非常に安定なPCPであるため、HFにPCPを溶かして分解したが、強酸の条件であるため、配位子も分解されてしまった。そのため反応効率の確認はまだ出来ていない。
|