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2013 年度 実績報告書

軟体動物二枚貝における形態進化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J01644
研究機関筑波大学

研究代表者

橋本 直樹  筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード二枚貝 / 軟体動物 / 卵割 / 不等分裂 / 貝殻形成 / EvoDevo / bHLH転写因子群 / 螺旋卵割
研究概要

軟体動物は螺旋卵割を行い、その分裂方向や不等分裂の極性はよく保存されている。しかし二枚貝類の貝殻始原細胞とと考えられているX割球は典型的な螺旋卵割のルールを無視して、分裂後とに不等分裂の極性と分裂方向を変化させるという特徴的な分裂パターンを示す。この特徴的なX割球の分裂パターンの進化的変更は二枚貝の「2枚の貝殻」の獲得という形態進化において重要なイベントであったと考えられている。この二枚貝特有の卵割パターンを制御するメカニズムを解明するために、将来貝殻腺に分化する二枚貝のD割球を単離しその後の分裂パターンを観察した。その結果単離割球のみで二枚貝特有の卵割パターンが再現されたことから、二枚貝特有の卵割パターンは他の細胞に由来する外因性因子に依存せず、細胞内に存在するたん白質の局在などによって制御されていることが示唆された。さらに単離割球においても分裂回数に応じて不等分裂の極性、分裂方向の変化が生じたことから、X割球は自信の分裂回数を"数える"機構を持つことが示唆された。また単離したD割球はトロコフォア幼生に似た形態まで発生し、貝殻腺マーカーの発現解析によって腺細胞分化が起こっていることがわかった。
またアコヤガイにおいてbHLH転写因子群の網羅的発現解析を行い、特定の組織や割球のマーカーになりうる遺伝子を多数発見した。これは今後二枚貝をはじめとする軟体動物の形態形成を理解するために行う発生学的研究に大いに役立つものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

不等分裂を制御する因子を探索するために、極性因子―GFP融合タンパク質コンストラクトを使用する計画であったが、この手法の確立が遅れ、研究計画の変更を余儀なくされたため。

今後の研究の推進方策

本年の研究によって二枚貝のX割球は自身の分裂回数を数える機構を持つことが示唆された。今後はこの機構の解明及び二枚貝の特徴的な分裂パターンの制御メカニズムを明らかにすることを目指す。当初とは手法を変更し、サイトカラシンなどの薬剤を用いて人為的に細胞分裂を停止・再開させた時の分裂様式を観察することによって、上記メカニズムの解明を試みる

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The Diversity of Shell Matrix Proteins : Genome-wide Investigation of the Pearl Oyster, Pinctada fucata2013

    • 著者名/発表者名
      H. Miyamoto, H. Endo, N. Hashimoto, K. Iimura, Y. Isowa, S. Kinoshita, T. Kotaki, T. Masaoka, T. Miki, S. Nakayama, C. Nogawa, A. Notazawa, F. Ohmori, I. Sarashina, M. Suzuki, R. Takagi, J. Takahashi, T. Takeuchi, N. Yokoo, N. Satoh, H. Toyohara, T. Miyashita, H. Wada, T. Samata, K. Endo, H. Nagasawa, S. Asakawa, S. Watabe
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 30 ページ: 801-816

    • DOI

      10.2108/zsj.30.801

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Genome-wide Survey of Genes Encoding Transcription Factors in Japanese Pearl Oyster Pinctada fucata : II. Tbx, Fox, Ets, HMG, NFkB, bZIP, and C2H2 Zinc Fingers2013

    • 著者名/発表者名
      H. Koga, N. Hashimoto, D. G. Suzuki, H. Ono, M. Yoshimura, T. Suguro, Y. Yonehara, T. Abe, N. Satoh, H. Wada
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 30 ページ: 858-867

    • DOI

      10.2108/zsj.30.858

    • 査読あり
  • [学会発表] 割球はいかにして細胞分裂回数を数えるのか?2013

    • 著者名/発表者名
      橋本直樹
    • 学会等名
      定量生物の会
    • 発表場所
      大阪,大阪大学
    • 年月日
      2013-11-23
  • [学会発表] 軟体動物の形態進化から見るcell typeの進化2013

    • 著者名/発表者名
      橋本直樹, 栗田喜久, 和田洋
    • 学会等名
      日本進化学会
    • 発表場所
      つくば,筑波大学
    • 年月日
      2013-08-28
  • [備考]

    • URL

      http://www.mbs.life.tsukuba.ac.jp/

URL: 

公開日: 2015-06-25  

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