研究課題
プラズマ合体による非誘導球状トカマク立ち上げのために、東大小野研究室のTS-4装置を用いて、中性粒子ビーム入射(NBI)と合わせた同極性合体実験を、初期プラズマの状態を変化させて行った。MEUDASコードによるMHD平衡性構成と圧力駆動型不安定性解析を行ったところ、外部トロイダル磁場と初期プラズマの安全係数が小さすぎると、プラズマ表面のみならず磁気軸付近の磁気面においてもバルーニング不安定・交換型不安定が起きうることが判明した。また軌道計算の結果、TS-4装置に設置されているNBI1、2、3号機のセットアップは合体中や緩和直後には適しているものの、それ以降の球状トカマク維持実験には不適切であることが分かった。定常状態の球状トカマク核融合炉設計のために、システムコード(TPCコード)を用いて、低アスペクト比領域のパラメータスキャンを行った。このとき、超伝導トロイダルコイル設計としてSCONEコードを用いて入力パラメータの一部を決定した。得られたパラメータセットから原型炉に相応しいものを選出し、2次元自由境界MHD平衡および電流分布を解析するACCOMEコードで、プラズマ物理設計を進展させた。その際、システムコードとの差異が幾つかの重要なパラメータ計算(ブートストラップ電流割合、NBI電流駆動効率)において見つかり、システムコードで用いられている既存のスケーリング式が不十分であることが分かった。ブートストラップ電流割合の簡易スケーリング式導出のため、Hirshman-Sigmarモデルという理論モデルを行列の逆変換から計算し、TPCコードに合うように大量のパラメータスキャンを行った。それらを用いてフィッティングを行い、低アスペクト比領域でも利用可能なシステムコードのためのブートストラップ電流割合式を導出した。
2: おおむね順調に進展している
プラズマ合体法の確立の一部としてTS-4で同極性合体実験を行い、その特性の解析からプラズマ物理設計の重要な指針を得られた。また定常状態の核融合炉設計の手法を習得し、球状トカマクに適用して既存のトカマクとのモデルの違いを見出し、新たなスケーリングモデルの導出を実施できた。
世界最大の合体装置である英国カラム研のMAST装置での実験が予定されており、最適なプラズマ合体による非誘導球状トカマク立ち上げシナリオ導出が見込まれる。また、トカマクプラズマ統合コードTOPICSを習得することで、合体後から定常燃焼へとつながるシナリオを描くことができるようになり、全体のプラズマ物理設計を行う予定である。
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Plasma and Fusion Research
巻: 8 ページ: 1402023の1-1402023の5