研究課題/領域番号 |
12J01756
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
魏 啓為 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 核融合 / 炉設計 / 球状トカマク / プラズマ合体法 |
研究概要 |
超伝導球状トカマク核融合炉設計のために、システムコード(TPCコード)を用いて定常運転点の導出を行った。新たに導出したブートストラップ電流割合スケーリング式を用い、全ての低アスペクト比トカマク炉を包括した広範囲のパラメータスキャンを行った。得られた2000万点を超える設計点に対して、実現可能な発電炉の制約点を絞り込むために、5つの制約条件(①発電炉プラズマ制約、②ブランケット制約、③β限界制約、④閉じ込め達成制約、⑤ダイバータ熱負荷制約)を新たに提案した。設計点に対して上記のプラズマ・炉工学制約を課し、得られた運転点に対して古典的なコスト計算モデルを用いて発電コスト(COE)の評価を行い、将来の日本の他エネルギー源のCOEの予測から核融合発電のブレークイーブン価格を推定した。そして、ブレークイーブン価格を達成する設計点を導出した。次いで、2次元自由境界MHD平衡および電流分布を解析するACCOMEコードを用いて、プラズマ物理設計を行った。外部電流駆動として1機の中性粒子ビーム入射(NBI)を設定し、圧力駆動型不安定性解析からMHD安定となるペデスタルありの密度、温度分布を導いた。 英国カラム研のMAST装置で、CSコイルを用いない球状トカマクの合体立ち上げ実験を行い、プラズマ合体のみでプラズマ電流0.2MA以上を10ms維持した。合体後の緩和過程では高速度カメラから数回のプラズマ排出が観測された。この現象はダイバータ板でのD-aスパイクとmid-planeの線積分密度の低下に一致しており、粒子排出を伴う。合体したSTの解析を行うために、計測した熱圧力を用いたEFIT++による平衡再構成を初めて行った。熱圧力分布は、mid-planeにおけるトムソン散乱計測による電子密度分布と電子温度分布、および今キャンペーンで新たに導入されたドップラー分光計測によるイオン温度分布から計算した。プラズマ排出の前後でプロファイルの崩壊が観測され、発生条件の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
改造したシステムコードを用いた広範囲スキャンを行い、実現可能な制約条件を新たに設定して超伝導球状トカマク核融合発電炉の設計点導出を行った。またプラズマ物理設計により、二次元の配位とプラズマ分布を導出した。プラズマ合体立ち上げ実験をMASTで実施し、ST炉に向けた知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマ合体法においてセンターソレノイドコイルを用いる重要性が判明したため、電流ランプアップを含めたプラズマ合体実験を計画している。また、炉設計において定常運転点に向けた総合的なプラズマ立ち上げシナリオの構築を計画しており、実現可能なプラズマプロファイルとプラズマ立ち上げ制約条件を検討予定である。
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