研究課題/領域番号 |
12J01772
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仏坂 健太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 重力波 / 中性子星 |
研究概要 |
採用者の課題であった連星中性子星合体後に形成される大質量中性子星の進化と、放射される重力波の波形について調べた。 大質量中性子星の形成・進化は、近年、報告されている2倍の太陽質量の中性子星の存在に無矛盾な核物質の状態方程式の下では、大質量中性子星の形成が最も起こりやすい進化経路であることを示した。大質量中性子星は形成直後から数ミリ秒から数10ミリ秒に渡って、重力波を放射することがわかった。これは、形成された直後の大質量中性子星は非軸対称な構造を持つためである。これらのことから、連星中性子星合体後に形成される大質量中性子星からの重力波は地上重力波干渉計のターゲットになり得ることがわかった。 採用者は、大質量中性子星からの重力波波形を系統的に調べた。特に、6つの特徴的な中性子星の状態方程式、3つの異なる全質量、5種類の質量比で多く連星系について数値相対論シミュレーションを行って調べた。その結果、採用者は重力波の平均的な周波数と中性子星の半径について、ある関係が存在することを見いだした。この関係は状態方程式に依らないため、重力波観測から平均周波数が測定されれば、中性子星の半径を見積もれることを意味し、大変重要な関係である。また、採用者は大質量中性子星からの重力波波形を現象論的関数で表現することに成功した。この関数形を用いれば、数値シミュレーションで得られた波形を90%以上の精度で再現することができることを示した。この関数形は、重力波データ解析の研究や超大質量中性子星からの重力波の検出に役に立つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
観測的に新たらしい天体が発見され、採用者の研究がその天体の性質を理解する上で役立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、主に数値相対論を駆使して、連星中性子星合体時に於ける重力波放射について調べた。その結果、重力波波形の高密度状態方程式に対する依存性を定性的には理解したが、定量的には不十分である。その理由は、従来の数値シミュレーションスキームでは、シミュレーション結果の収束性が悪いため、実用のために必要な精度を達成できていないからである。したがって、今後の研究推進方針としては、より良い数値スキームを開発し、より精度の高い重力波波形を計算することが必要である。
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