研究課題/領域番号 |
12J01799
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藪中 俊介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ソフトマター / レオロジー / メゾ構造 / 相分離 / 制限された空間 |
研究概要 |
今年度は、制限された空間での相分離、ブロックコポリマーに見られる相分離メゾ構造の構造レオロジーの研究を行った。 制限された空間での流体の相挙動に関しては、多くの研究が為されている。壁と分子の間の相互作用、壁の形状により相挙動は大きな影響を受ける事が分かっている。単純な系として二枚の板で挟まれた二元混合系を考える。多くの場合、二元混合系の内の一成分が、壁に引き寄せられる事が知られている。そのため、二枚の板で挟まれた空間では、系の化学ポテンシャルを変化(外側の粒子溜めの組成を変える)させると、壁が好む成分によって空間の大部分が占められた状態と、壁が好まない成分が二枚の板の間に入り込んだ状態の間の一次転移(Capillary condensation transition)が起こることがしられている。 まず、横方向に一様な1次元解(壁と垂直方向にのみ変化する)の安定性をみるため、「壁に垂直方向での組成の平均値」と化学ポテンシャルの間の関係(相図)を計算した。その結果、低温では、van der Waalsループが現れることがわかった。このループは、先に述べたCapillary condensation transitionに関係している。次に、van der Waalsループ上の熱力学的に不安定な領域に系をクエンチした場合の最終的な平衡解、そこに至る相転移ダイナミクスを議論する。その結果、初期にvan der Waalsループ上の不安定な1次元解が実現されるが、次第に横方向の不安定性が発達し相分離が起こる事が分かった。 また、これまでブロックコポリマーのミクロ相分離構造では、ラメラ、ヘキサゴナルなど逆格子ベクトルの大きさが単一な比較的単純な構造の弱偏析極限での構造レオロジーが記述できていなかった。この問題を解決するため分子配向のダイナミクスを考慮に入れた構造レオロジーの理論を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ソフトマターの構造とレオロジーの相関という問題に対しやや当初とは異なるが、理論的なアプローチを成功させており、さらに新たに得た着想に基づき、制限された空間でのソフトマターの相挙動を論じる事が出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのソフトマターにたいする空間制限の効果や、構造とレオロジーの間の知見を活かし研究計画にある液晶コロイド系の問題のレオロジーの研究を進める予定である。
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