研究課題/領域番号 |
12J01826
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
末次 竜 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 惑星 / 衛星 / 微惑星 / 天体力学 |
研究概要 |
巨大惑星の周りには多くの不規則衛星がある。それらの軌道は楕円で大きく傾いていることから捕獲された微惑星が起源だと考えられている。様々な捕獲過程が提案されているが、それらの一つに微惑星が惑星重力に一時的に捕獲され惑星周りを公転している間に何らかのエネルギー散逸が働き不規則衛星が形成されたとするモデルがある。このモデルでは一時捕獲過程が重要な役割を果たすが、今まで詳細な研究はされてこなかった。我々はすでに惑星質量が中心星に比べ非常に小さいと仮定した場合の一時捕獲過程は調べたが、この結果を巨大惑星による一時捕獲に適用できるのかは不明である。そこで太陽、惑星、微惑星の円制限三体問題軌道計算を行った。これにより一時捕獲の軌道、頻度などの性質と巨大惑星に一時捕獲された微惑星が捕獲前にもっていた太陽周りの軌道要素との関係を明らかにすることができる。主な計算結果を以下にまとめた。 1、離心率が増加すると典型的な一時捕獲軌道が変化した。この傾向は惑星質量が小さい場合と同様のものであった。 しかし一時捕獲軌道のうち惑星から離れた場所を公転するものは惑星軌道の曲率の効果によって、惑星軌道に沿って曲がることがわかった。 2、一時捕獲頻度は離心率が増加すると増加した。この傾向は惑星質量が小さい場合と同じであった。しかし微惑星の初期軌道が惑星軌道より内か外かで一時捕獲される頻度は大きく変化することがわかった。 3、木星の順行不規則衛星の捕獲に寄与した可能性がある一時捕獲軌道になる微惑星の初期位置は、火星と木星の間にあるメインベルト小惑星帯のヒルダ群の領域に相当することがわかった。この結果は先行研究とも矛盾しない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は巨大惑星の一時捕獲とカイパーベルトバイナリーなどのN体軌道計算を行う予定であった。しかし流体計算の進歩で惑星周りのガスの流れが詳細にわかるようになったので、N体軌道計算ではなく2013年度に行なう予定であったガスと不規則衛星の相互作用についての研究を先に行なった。研究の順番を変更しただけで遅れてはいないので(2)とした。また、ガスと微惑星の相互作用の研究もコード作成は終了し結果がでつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下のようなN体軌道計算を中心とした研究を行なう予定ある。 1、カイパーベルトバイナリーの形成過程. 2、不規則衛星の捕獲過程 また2012年度で流体計算結果を軌道計算に組み込むことができるようになったので、上記のカイパーベルトバイナリーの形成過程の研究で作成したN体軌道計算コードに流体計算結果を組込みこんだ場合の研究も行なう。
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