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2013 年度 実績報告書

N-メトキシアミド基を利用した新規アルカロイド合成法の開発と天然物合成への応用

研究課題

研究課題/領域番号 12J01843
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

白兼 研史  慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードN-メトキシアミド / アシルイミニウムイオン / Schwartz試薬 / 多置換アミン / アルカロイド / ゲフィロトキシン
研究概要

本年度の研究では、N-メトキシ基を反応性制御素子に用いた、効率的なゲフィロトキシンの改良全合成を達成した。1つ目の鍵反応は、N-メトキシアミドとアルデヒドとのカップリング反応である。N-メトキシアミド基は通常のアミド基に比べ、窒素原子の求核性が高くなっている。そのため、N-メトキシアミドを、アルデヒド存在下、B_F3-OEt_2で処理すると分子間縮合によりアシルイミニウムイオンが生じ、続く分子内反応によりラクタムを完全な立体選択性で与えた。その後メチルエステル基を有した二環性ラクタムに誘導し、2つ目の鍵反応であるアミド基に対する還元的アリル化に取り組んだ。この二環性ラクタムはアミド基より反応性の高いエステル基が共存しているため、DIBALなどの還元剤は使用できない。そこで、Schwartz試薬に着目した。Schwartz試薬の特徴として、エステル基が共存していてもアミド基と選択的に反応することが挙げられる。Schwartz試薬と当研究室で開発したアミド基に対する求核付加反応を組み合わせると、反応はアミド基のみに選択的に進行し、望みの多置換アミンを収率良く与えた。続いて、得られた多置換アミンの側鎖を伸長した後、メトキシ基の除去により三環性化合物を得た。この三環性化合物は2種類のエステル基を有しており、第一世代の合成経路では望みのエステルを選択的に反応させるのは困難だった。この問題を解決するため保護基を利用したが、余分な保護・脱保護の工程が必要であった。そこで、2種類のエステル基の種類を検討し、最適な組み合わせにしたところ、余分な保護・脱保護の工程を経ることなくゲフィロトキシンの全合成を達成した。
改良した合成経路は、これまで報告されている全合成例に比べて工程数が最も少なく、そして総収率が最も高くなった。以上の結果よりN-メトキシアミド基を利用した合成戦略は効率的にアルカロイドを合成できることを示せた。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Total Synthesis of (±)-Crephyrotoxin by Amide-Selective Reductive Nucleophilic Addition2013

    • 著者名/発表者名
      Shirokane, K. ; Wada, T. ; Yoritate, M. ; Minamikawa, R. ; Takayama, N. ; Sato, T. ; Chida, N.
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 53 ページ: 512-516

    • DOI

      10.1002/anic.201308905

    • 査読あり
  • [学会発表] ゲフィロトキシンの改良全合成2014

    • 著者名/発表者名
      白兼研史、和田崇正、寄立麻琴、南川亮、高山展明、佐藤隆章、千田憲孝
    • 学会等名
      日本化学会第94春季年会
    • 発表場所
      名古屋大学 東山キャンパス
    • 年月日
      2014-03-27
  • [学会発表] ゲフィロトキシンの全合成 : N-メトキシアミドに対する官能基選択的な求核付加反応の開発と応用2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆章、白兼研史、和田崇正、寄立麻琴、南川亮、高山展明、千田憲孝
    • 学会等名
      第55回天然有機化合物討論会
    • 発表場所
      同志社大学 寒梅館
    • 年月日
      2013-09-18

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公開日: 2015-07-15  

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