家庭内言語が外国語であるニューカマーの児童(以下、ニューカマーの児童)の支援ニーズを包括的に捉え、支援の実態と有効な支援について検討を行った。本研究の成果は、中学生以上が主に対象とされてきたニューカマーの子どものうち小学生児童の支援ニーズに特化し、事例検討、事例校検討、質問紙調査、インタビュー調査、フィールドワークという様々な調査手法を用いて彼らの支援ニーズを詳細に明らかにした点にある。特に学校における支援ニーズに着目し、学校で提供できる支援と提供者(支援者)について二ューカマーの児童本人への調査を通じて明らかにした点に特徴がある。本人が日常的に発する支援ニーズを明らかにすることで、日常的かつ長期的な学校支援のあり方について重要な示唆を与えることができると考える。 交付申請書では研究課題を5つ提示したが、研究を進める過程でニューカマーの児童本人の支援ニーズをより具体的に検討するため研究課題①~④の分析の再検討を行った。まず、ニューカマーの児童に提供される支援についてソーシャルサポートの観点から詳細に整理するため、研究課題①~②(二ューカマーの児童の支援ニーズを回顧法または観察によって明らかにした。)の分析方法を再検討し、最終的な分析結果を出した。次に、研究課題③では学校教育実践に多大な影響力をもつ学校教員の役割に着目してデータの読み込みを行い、学校教員が捉えるニューカマーの児童の支援ニーズと学校実践の実態を明らかにする分析を最終的に行った。研究課題④では、様々な母語背景をもつニューカマーの児童を対象としたインタビュー調査を実施した。母語の違いを越え児童に共通の支援ニーズと個別特徴的な支援ニーズを過去、現在、未来という異なる時間軸をもとに取り上げた。また、担任と日本語指導担当教員に質問紙調査を行い、教員間で支援ニーズの捉え方に違いがあることを指摘した。
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