研究課題/領域番号 |
12J01941
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
対馬 太郎 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ウイロイド / 種子伝染 / 欠損変異分子 / CbVd / PSTVd / コリウス / ダリア |
研究概要 |
(1)ダリアのジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)と欠損変異環状分子 ウイロイドの欠損変異はこれまでにいくつか報告があったが、どれも数塩基の欠損変異であり連続した数十塩基の欠損変異の報告はなかった。今回、PSTVd(360nt)が感染するダリアから同時に検出された多数の欠損変異体のうち、306ntと188ntの大きさのPSTVd欠損変異分子の感染性クローンを作出した。これらをPSTVdの宿主となりうるトマトとダリアに接種試験を試みたが、どちらも感染性を確認することはできなかった。よって、これらの欠損変異分子は、自己複製能を持つウイロイドとして存在するのではなく、宿主内においてPSTVdの自己複製時に作出された分子である可能性が示唆された。 (2)国内コリウスから検出されたコリウスウイロイド(CbVd)とCbVdの種子伝染能 接種試験用の健全コリウス選抜の過程で、日本では未報告のCbVd-6とCbVd-5を検出した。これらのウイロイドは現在中国でのみ報告されており世界で二例目の発見となった。これまでウイロイドの分類は塩基配列をもとに行われていたが、近年、病原性や種子伝染能のような生物学的特徴を明確にすることが必要とされている。そこで、詳しい調査が行われていないCbVd-5、-6の感染性と種子伝染能を調査した。コリウスにおけるCbVd-6の接種試験では感染は確認できなかったが、同じシソ科のバジルでの接種試験では高確率で感染を確認することができた。このことからバジルがCbVd-6の宿主になりうることを世界で初めて明らかにした。また、CbVd-6の種子伝染は確認できなかった(0120株)。この結果は、同種のCbVd-1がほぼ100%で種子伝染するのに対して、CbVd-6の種子伝染能は極めて低い(全くしない)ことを示唆している。CbVd-5に関しての調査は現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダリアPSTVd欠損変異分子の接種試験による自己複製能の評価とCbVd-6の種子伝染率の評価を完了できたことから、おおむね研究実施計画通りに実験を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
コリウスウイロイドの接種試験用に選抜したコリウスが、ウイロイドに対する抵抗性が強く、接種試験用の宿主として適当ではないと判断したため、再度ウイロイドフリーのコリウスの探索を進行中である。
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