研究課題
マルチビュービデオは、フリービューポイントテレビ、没入型ビデオ会議などの次世代視覚通信を実現するためのコア技術であり、ネットワークに損失が存在する場合におけるマルチビュービデオの有効な伝送方法について考えることが大変重要である。この研究では、誤り耐性を有するマルチビュービデオの有効なストリーミング方式を提案することが目的である。平成25年度では、無線ネットワークにおけるパケット損失は通常連続して発生することに考慮し、複数の通信経路間で発生するパケット損失の独立性と、隣のビュー間の強い相関性を利用し、複数(今回は2つ)の記述による符号化を使い、それぞれの記述を別々な通信経路で選択的に伝送する方法についてその実現方法と有効性について検討した。シミュレーションで評価を行った結果、提案方式は既存のものよりも高いビデオ品質を提供できることが明らかになった。モバイルデバイスの高性能、高機能化に伴い、バッテリー技術の発展は常に遅れを取っている。したがって、ストリーミング法を考えるとき、エネルギーの消費も考慮に入れなければならない問題である。一方、マルチビュービデオのストーミングはシングルビュービデオよりも大きな帯域を必要とし、ネットワークの帯域が限られた場合の伝送帯域の削減が必要である。伝送帯域を削減しても品質が落ちないようにするには、より複雑な計算を必要とし、エネルギーの消費も上がる。われわれは、ビデオソースの符号化レートの削減とエネルギー消費とのトレードオフでビデオの伝送品質を最大化するためのアルゴリズムについて提案した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画されていたビデオ品質を高めるためのマルチビュービデオストリーミングプロトコルの提案以外に、エネルギー消費にも考慮したストリーミング方法についても検討を行い、計画以上の進展があった。
マルチパスによるマルチビュービデオストリーミングの方法について検討するとともに、利用者のビデオ品質要求とビデオの特性に考慮しながら、異種無線ネットワーク(HetNet)におけるセル間の干渉をどのように調整するかについて検討していきたい。
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IEEE Transaction on Circuits and Systems for Video Technology
巻: 23(accepted) ページ: 1781-1794
10.1109/tcsvt.2013.2269019