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2013 年度 実績報告書

生物多様性の数理的理解を目指した統計力学の構築

研究課題

研究課題/領域番号 12J02011
研究機関大阪大学

研究代表者

小渕 智之  大阪大学, サイバーメディアセンター, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2012 – 2014-03-31
キーワード生物多様性 / 統計力学 / 逆問題
研究概要

申請者は「生物多様性の数理的理解を目指した統計力学の構築」というテーマに基き、(1)生態系のモデル研究 ; (2)逆問題の統計力学の構築、を提案申請した。本年度はこの研究計画に基づき特に以下の問題
(i)疎結合ランダムレプリケーター方程式の解析
(ii)逆問題における解集合の個数の拘束条件の数及び最大エントロピー原理への依存性の定量的解析
を集中的に解析した。
(i)昨年度までに、疎結合なグラフ上での解析のための定式化(Cavity法)と近似のそれぞれを構成し、シミュレーションとの比較検討を行った結果、個体数分布に多峰性が現れるという新しい性質を発見した。今年度では、この定式化・近似を正当化する領域を理解すべく、生態系モデルの生産性が高い極限からの摂動展開を行った。その結果、疎結合グラフ上で成り立っCavity法を一般のグラフに対して自然と導出することに成功した。ここから、生産性の高い現実の生態系において、我々の結果を直接比較適用することが出来るのではないかと期待している。
(ii)は全く新しいタイプの研究である。力学変数としてスピンではなく、各状態の確率重みそれ自身を取り、可能な確率分布に対する制約をモーメントに対する制約で入れていき、その制約の個数と可能な確率分布の個数(体積)の定量的な関係を解析するもので、逆問題を一般的な文脈で定式化している。昨年度までに、その体積の最悪評価を終えている。今年度は、最悪評価を超えた評価をするために、非典型な制約の場合の評価、制約に空間構造を加えた場合の評価を行うことを試みた。現在、解析の技術的制約による困難に直面しており、これを克服するため数値シミュレーションによって問題に関する網羅的知見を探っている段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度までに、生態系の研究は研究計画書の2年次の計画を既に先取りしていた。逆問題の統計力学については、上述した解集合の解析において困難に直面しているため、予定通りに研究が進んでいない。研究進度を総合して自己評価すると、今年度分の研究はやや遅れている。昨年度分と合わせて考慮すれば概ね順調に推移していると考えている。

今後の研究の推進方策

逆問題の統計力学における現状の問題点を解決するべく、いくつかの新しいアイデア・近似を考案した。現在それらがうまくいくか吟味している段階である。生態系のモデル研究については、ひと段落ついたと考えており、論文にまとめている段階である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Monte Carlo simulations of the three-dimensionsl XY spin glass focusing on chiral and spin order2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Obuchi. Hikaru Kawamura
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 87 ページ: 41-654

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.87.174438

    • 査読あり
  • [学会発表] Properties of probability Distributions Constarined by Observables : Implication to Maximum Entropy Modeling2014

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Obuchi. Remi Monasson, Simona Cocco
    • 学会等名
      SPDSA2014-Inverse problem and statistical machine learning-
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-03-10
    • 招待講演

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公開日: 2015-07-15  

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