研究課題/領域番号 |
12J02088
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 幸平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 赤外線 / X線 / 赤外線銀河 / 活動銀河核 / 塵トーラス |
研究概要 |
平成25年度に行った研究は、大きく3つのパートに別れる。1つめは、平成25年度の研究計画で述べたよう1に、超高光度赤外線銀河の(U/LIRGs)のエネルギー源の解明についてである。我々は、赤外線衛星AKARIのぶん校観測によって得られた赤外線銀河約30天体に対して、スペクトル中に観測される輝線の強度や、スベクトルの傾きから、これらの中に埋もれた活動銀河核(AGN)がどの程度いるのかを調べた。その結果、埋もれたAGNが多数見つかり、しかも、埋もれたAGNの割合は赤外線光度に強く依存することがわかった。それだけでなく、埋もれたAGN光度が銀河の全赤外線光度にどの程度寄与するのかも調べた。その結果、AGN光度の全赤外線光度への寄与は、赤外線光度が大きくなるにつれ大きくなったが、その量はたかだか20%程度であった。これは、近傍宇宙における、赤外線銀河から放射される赤外線光度の大部分は星生成由来であることを示している。2つ目は、近傍宇宙における、AGNトーラスの高空間分解能観測と、トーラスの幾何的サイズの解明である。我々はアメリカ・およびスペインのチームの協力を得ることにより、Gemini望遠鏡の観測によって得られた近傍のAGNトーラスのスペクトル約20天体を取得することに成功した。このサンプルに対し、クランプトーラスモデルを適用し、非常に多くのサンプルに対して、トーラスの大きさ・形・クランプの分布を得ることができた。3つ目は平成24年度に我々が出版した論文lchikawa et a1. (2012)内で作成したカタログから発見した、X線で明るいにもかかわらず、. 赤外線光度が非常に小さいAGN種族のさらなる観測である。このような新しいAGN種族に対して、観測提案を行い、すばる望遠鏡とすざく衛星の観測時間を新たに取得することができた。すばる望遠鏡については天候が良くなかったものの、すでに観測を終えているため、今後、新たなAGN種族のトーラス性質の理解をめざすことができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、埋もれた活動銀河核の探査については、論文としてまとめ、AstrophysicalJournal誌に投稿中である。さらに、過去の研究を発展させ、新たな共同研究をスタートさせ、それだけにとどまらず、大型望遠鏡の観測時間を取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている研究を論文としてまとめることをめざす。そのために、共同研究者と密に連絡を取り合い、議論を進める。また、今年度は新たにすざく衛星にて天体が観測される予定なので、それらの解析方法を学び、かつ論文としてまとめることをめざす。
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