研究概要 |
星形成過程における磁場の観測は重要である。磁場はアウトフローやジェットの生成要因であると同時に円盤形成に本質的な役割を担っていると考えられている。我々は3次元磁気流体(以下MHD)シミュレーションによって得られた理論的な磁力線構造から偏光マップを再現することで、偏光観測の理論予測を行った。その結果、特に初期の磁力線と回転軸の方向が異なっている場合、従来予測されていたような「砂時計型」磁力線ではなく「S字型」の磁力線構造が得られることを示し、アメリカの論文誌Astrophysical Journal誌に発表した(Kataoka et al.2012,ApJ,761,40)。更に、実際に偏光観測を行なっている新永氏と共同研究によって「S字型」磁力線で観測を説明できることを示した(Shinnaga,...,Kataoka,et al.2012,ApJL,750,29)。 星形成過程において形成される円盤内での1μm程度のダストの合体成長によって最終的に1000kmサイズの惑星が形成されると考えられているが、特に成長過程におけるダストの内部構造は謎に包まれている。実際の円盤中ではダストは空隙を持って成長するため内部密度が下がると考えられる。しかし、彗星に代表されるような数百mサイズの微惑星の内部密度は物質密度と同程度に高い。すなわち、空隙を持った内部密度の低いダストは、円盤圧力や自己重力により圧縮され微惑星が出来ると考えられる。そこで我々はこのような空隙ダストの圧縮過程を数値多体計算により調べ、ダストの圧縮強度を求めることに成功した(Kataoka et al 2013,submitted to A&A)。
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