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2012 年度 実績報告書

睡眠時無呼吸症候群による心不全及び心筋梗塞における細胞死の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12J02221
研究機関東京大学

研究代表者

奈良 明奈  東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD) (50722576)

キーワード睡眠時無呼吸症候群 / 間歇的低酸素 / 虚血性心疾患 / 肺高血圧症 / 右心室収縮期圧 / 肺血管リモデリング
研究概要

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)は、高血圧や肥満との関連性が強く、心不全や虚血性心疾患の危険因子である。日本人におけるSASの罹患率は数%と推定され、そのうちの大半を中高年以上の男性が占めている。現在、多くの臨床研究機関で、SAS及びその関連疾患に関する研究報告がなされているが、病態の起因となる生理学的及び分子生物学的機構は、未解明の部分が多い。そこで本研究では、申請先研究室によって開発された間歌的低酸素(Intermittent Hypoxia : IH)発生装置を利用することでSASの病態モデルを再現し、(1)糖尿病罹患モデル及び(2)加齢ラットモデルの2つのSASモデルを作成し、虚血性心疾患及び肺高血圧症等の病態への寄与について検討した。
その結果、(1)糖尿病罹患ラットをIH曝露させると、体重あたりの左室拡張末期径が拡張し、左室駆出率及び左室内径短縮率の有意な低下が認められた。すなわち、予め糖尿病に罹患していると、IH曝露により、心収縮能低下及び心室拡張を来すことが明らかとなった。一方、(2)加齢ラットはIHを曝露しても左心室機能は維持されていたが、肺動脈血流の低下及び右心室収縮期圧の上昇が認められた。またIH群は、体重あたりの肺重量及び右心室重量の増大が確認された。肺組織での免疫染色では、IH群において、α-smooth muscle actin(SMA)の光学密度上昇が認められた。また、IH群の肺実質内では、ウエスタンブロッティング法により、α-SMAタンパク及びカルデスモンの有意な発現上昇が確認された。今回の結果より、加齢ラットにおいて、我々が以前行っていた7週齢ラットモデルでのIH曝露では確認されなかった、肺循環機能の著しい低下が明らかとなった。また肺組織では、平滑筋細胞の著しい増殖が認められたため、IH曝露により肺血管リモデリングが進行している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では、糖尿病・高血圧モデル動物にIHを曝露して、心不全や虚血性心疾患の病態へ寄与するか否かを心筋細胞内分子機構について検討することを主目的としていたが、心機能のみならず肺循環機能についても検討を行うことで、包括的にSASの病態解明を目指すこととした。そのため、生理学的データに基づく有効な結果を得ることが出来たが、心筋及び肺血管内皮・平滑筋細胞内分子の結果については、来年度に詳細に検討する必要があるとしたため、(2)のおおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

(1)糖尿病罹患ラットにIHを曝露することで、心収縮能低下及び心室拡張を来すことが明らかとなったため、来年度は、今年度得られた結果を基に、糖尿病罹患におけるSAS病態の進展への寄与について、心筋細胞内分子を中心に検討する必要がある。(2)加齢ラットでは、IH曝露により肺循環機能の著しい低下が明らかとなり、肺組織においても平滑筋細胞の著しい増殖が認められたため、IH曝露により肺血管リモデリングが進行している可能性がある。そのため来年度では、肺血管の平滑筋細胞内でのリモデリングの過程及びその具体的な細胞内分子機構について検討を行う。一方で、加齢によるIH曝露における生体への影響についても、酸化ストレスに対する耐性などについて、若年ラットモデルと比較する等の検討を行う必要があると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 睡眠時無呼吸症候群・糖尿病合併モデルラットにおける心機能評価2012

    • 著者名/発表者名
      奈良 明奈、永井 恒志、加鳥 淳平、黒田 亮平、前田 秀将、Lisa Wingenfeld、新谷 香、吉田 謙一
    • 学会等名
      第81回日本法医学会学術関東地方集会
    • 発表場所
      高崎シティギャラリー(群馬)
    • 年月日
      2012-10-20

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公開日: 2014-07-16  

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