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2014 年度 実績報告書

アルカリ可溶セルロースの新しい食材領域を目指した相互作用の解明と構造制御の方法論

研究課題

研究課題/領域番号 12J02232
研究機関横浜国立大学

研究代表者

宮本 ひとみ  横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード再生セルロース / アルカリ可溶セルロース / 食品 / 分子シミュレーション / 構造形成メカニズム
研究実績の概要

水酸化ナトリウムを溶媒とする,セルロースの新しい溶解法の確立により,セルロース成型体は世界で初めて法律的に認められ,食品展開できるようになった。しかし,法律的に可食なセルロースは,異物感を感じるため食感的には可食ではない。現在までに,セルロースの構造形成の初期に形成される疎水性の相互作用により集合したセルロース分子シートを乱すことで最終的なセルロースの結晶性が低下し,これが食感改良に繋がるという,構造設計のための基本的な考え方が分かっている。しかし,なぜ分子シートが乱れるのかという食感改良に関する構造制御の方法論は明らかではない。そこで,本研究の目的は,「セルロースとその周辺物質との相互作用を周辺物質の観点,固体構造の観点より明らかにすること」である。
前年度までの研究より,超臨界水に溶解したセルロース溶液に染料を加えるとセルロースの結晶性が低下するのに対し,キュプラ,ビスコース,水酸化ナトリウム水溶液に溶解したセルロース溶液に染料を加えても結晶性は低下しないことを明らかとした。これは,セルロースの溶解状態に起因すると考えられる。現在までに再生セルロースの構造形成メカニズムを報告している。(a)水系溶媒中でセルロースが溶解(b)疎水性の相互作用によりグルコースリングが集合し,分子シート構造を形成(c)分子シートが水素結合などで積層し,結晶を含む薄膜構造体を形成し,最終構造体となる。超臨界水にセルロースを溶解させ,再生後に上澄みをTEM観察すると,リボン状構造が観察された。上述の構造形成メカニズムによれば,このリボン状物は約3-4のセルロース分子シートが積層した構造である。一方,分子動力学シミュレーションより,セルロースの疎水面と染料の疎水面が弱い相互作用により積層し,染料分子の両端がセルロースの水酸基と水素結合を持つことにより集合しシート状態を形成していることを明らかとした。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dissolution mechanism of cellulose in a solution of aqueous sodium hydroxide revealed by molecular dynamics simulations2015

    • 著者名/発表者名
      Hitomi Miyamoto, Udo Schhnupf, Kazuyoshi Ueda, Chihiro Yamane
    • 雑誌名

      Nordic Pulp & Paper Research Journal

      巻: 30 ページ: 67-77

    • DOI

      10.3183/NPPRJ-2015-30-01-p067-077

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Dissolution of Cellulose Nanofibers in Aqueous Sodium Hydroxide Solution2015

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Yamane, Kentaro Abe, Maho Satho, Hitomi Miyamoto
    • 雑誌名

      Nordic Pulp & Paper Research Journal

      巻: 30 ページ: 92-98

    • DOI

      10.3183/NPPRJ-2015-30-01-p092-098

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influence of dyestuffs on the crystallinity of a bacterial cellulose and a regenerated cellulose2014

    • 著者名/発表者名
      Hitomi Miyamoto, Masaya Tsuduki, Mariko Ago, Chihiro Yamane, Mitsuo Ueda, Kunihiko Okajima
    • 雑誌名

      Textile Research Journal

      巻: 84 ページ: 1147-1158

    • DOI

      10.1177/0040517513517960

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Molecular Dynamic Simulation on Dissociation Behavior of Various Crystalline Celluloses Treated with Hot-Compressed Water2014

    • 著者名/発表者名
      Hitomi Miyamoto, Rosnah Abdullah, Hayato Tokimura, Daichi Hayakawa, Shiro Saka, Kazuyoshi Ueda
    • 雑誌名

      Cellulose

      巻: 21 ページ: 3203-3215

    • DOI

      10.1007/s10570-014-0343-y

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Water Structuring Over the Hydrophobic Surface of Cellulose2014

    • 著者名/発表者名
      Hitomi Miyamoto, Udo Schnupf, John W. Brady
    • 雑誌名

      Journal of Agricultural and Food Chemistry

      巻: 62 ページ: 11017-11023

    • DOI

      10.1021/jf501763r

    • 査読あり
  • [学会発表] 第一原理計算によるセルロースIIII結晶構造の解析2014

    • 著者名/発表者名
      石川哲也, 上田一義, 宮本ひとみ, 早川大地
    • 学会等名
      神奈川県ものづくり技術交流会
    • 発表場所
      海老名
    • 年月日
      2014-10-22 – 2014-10-24
  • [学会発表] Interaction of water molecules with carboxyalkyl cellulose2014

    • 著者名/発表者名
      A. Horii, H. Miyamoto, K. Sakakibara, I. Wataoka, Y. Tsujii, C. Yamane, K. Kajiwara
    • 学会等名
      Japanese-European workshop “cellulose and functional polysaccharides”
    • 発表場所
      Berlin, Germany
    • 年月日
      2014-10-14 – 2014-10-16
  • [学会発表] 第一原理計算によるセルロースIIII結晶構造の解析2014

    • 著者名/発表者名
      石川哲也, 宮本ひとみ, 早川大地, 上田一義
    • 学会等名
      高分子討論会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2014-09-24 – 2014-09-26
  • [学会発表] 直接染料がセルロース結晶化抑制に与える影響2014

    • 著者名/発表者名
      宮本ひとみ, 湯口宣明, 平瀬龍二, 上田一義, 山根千弘
    • 学会等名
      セルロース学会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2014-07-17 – 2014-07-18
  • [学会発表] 高温・高圧水によるセルロースの溶解とそれに続く常温・常圧下での構造形成過程の追跡2014

    • 著者名/発表者名
      竹田真弓, 宮本ひとみ, 平瀬龍二, 湯口宜明, 山根千弘
    • 学会等名
      セルロース学会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2014-07-17 – 2014-07-18
  • [学会発表] パルプのアルカリ解繊とその再生2014

    • 著者名/発表者名
      阿部賢太郎, 矢野浩之, 宮本ひとみ
    • 学会等名
      セルロース学会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2014-07-17 – 2014-07-18
  • [備考] 横浜国立大学 上田研究室

    • URL

      http://www.ueda-lab.ynu.ac.jp/index.html

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公開日: 2016-06-01  

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