研究課題/領域番号 |
12J02241
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
関 佳奈子 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | リーフ・ナショナリズム / アブドゥルカリーム・アル=ハッタービー / リーフ戦争 / 北アフリカ / モロッコ:スペイン:フランス / 近現代史 / 植民地時代 / ナショナリズム論 |
研究概要 |
平成24年度(2012年度)の本研究の研究業績については、以下のとおりである。 平成24年度前半は、A Preliniinary Consideration of "RifNationalism" : In relation to the resistance of Abdal-Karim al-Khattabiを執筆し、同年7月NIHU(人間文化研究機構)Program, Islamic Area StUdiesより、Tradition in Medernism : Refonnation and Revtvalに掲載された。これは、本研究従事者である私自身の研究課題「アブドゥルカリームの反乱の歴史的意義-『リーフ・ナショナリズム』の再検討-」を追究するうえで一つの軸としている「リーフ・ナショナリズム」の予備的考察を行ったものである。 リーフ戦争(1921-26年)は、今日でも検証作業の続く論点の多様な戦争である。スペインの植民地支配下にあったモロッコ北部リーフ地方で勃発したリーフ戦争は、何を希求した戦いであったのか。本研究の最大の研究目的であると同時に、その鍵を「リーフ・ナショナリズム」に求めた本研究は、ナショナリズム論の応用と、リーフ戦争に関するモロッコ、スペイン、フランスなどの史料の複眼的な分析を検証作業の中心に置いている。その予備的考察として、前述した英文の論文において、一部の史料分析とナショナリズム論の検証を行った。 平成24年度後半には、同年10月20日発行の『史学雑誌』(史学会、第121編第10号)に、ギー・ペルヴィエ著(渡邊祥子訳)『アルジェリア戦争-フランスの植民地支配と民族の解放-』の新刊紹介を執筆した。2012年は、アルジェリア独立から50年目の節目の年であった。アルジェリア近現代史の転換点となったアルジェリア独立戦争について、フランスとアルジェリア双方の視点から実証的に分析されている同書は、隣国モロッコの植民地時代という同時代の同様の状況を研究対象としている私自身にとって、参考となる箇所を多く含む興味深い文献である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スミスやアンダーソンなどのナショナリズム論を整理、応用しながら、本研究の主要な研究目的である「リーフ・ナショナリズム」の予備的考察および検証に従事した。その研究成果として、前述したように、A Preliminary Consideration of "Rif Nationalism" : In relation to the resistance of 'Abdal-Karim al-Khattabiと題した論文を執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、すでに入手済みのリーフ戦争やスペイン領モロッコ史関連の史料、文献等の分析および、ナショナリズム論の整理に重点を置いて研究を行った。他方、国外での史料調査および史料収集に従事することも重要である。平成25年度は、モロッコ、スペイン、フランスを中心とした図書館や文書館等での調査に従事し、「リーフ・ナショナリズム」を分析するためのさらなる史料収集を進めたい。また、文字史料による分析とともに、モロッコ北部リーフ地方での現地調査を重ねながら、「リーフ・ナショナリズム」の継続、断絶あるいは復興の実態について検証し、モロッコ近現代史における「リーフ・ナショナリズム」の位置づけを試みる。
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