研究課題/領域番号 |
12J02301
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田上 亮太 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 有機超格子構造 / ナノ構造体 / 界面重縮合 / アゾメチンカップリング / プローブ顕微鏡 / 自己組織化 |
研究概要 |
2次元高分子ナノ構造の自己組織的構築のための方法論として、芳香族Schiff base反応を分子間のカップリング反応として用いた「固液界面平衡重合法」を検討している。芳香族Schiff base反応の反応平衡をpHで制御することで、均一溶液中では反応かぎりぎり進行しないにもかかわらずモノマーの濃縮と疎水効果による反応促進効果が働く固液界面では選択的に平衡重合が進行する。固液界面で起こる自発的なカップリング反応と自己組織化により、分子レベルで配列した構造が形成することをプローブ顕微鏡による観察により明らかにしている。 今年度の計画では、3次元成長の足場として軸配位子を配位させることの出来る金属ポルフィリンを用いたナノフレームワークの構築と評価を目標として掲げ、Z軸方向ヘビルドアップすることが可能な2次元テンプレート構造の構築とその評価に関して研究を展開した。4官能性芳香族アミンユニットとして、鉄が配位したポルフィリン(FeTAPP)と2官能性芳香族アルデヒドユニットのTPAを組み合わせることで、ヨウ素修飾金(111)電極上に2次元に広がったフレームワーク構造の構築と、STMによるその場観察に成功した。メタルポルフィリンからなるメッシュ構造がメタルフリーポルフィリンとほぼ同様の方法で構築することが可能なことを明らかにした。得られたFeTAPP-TPAのSTM像は、各々の結点のポルフィリンの中心部分が特に明るく光って観察された。これはポルフィリンに配位した鉄のカウンターイオンであるCl-イオンが可視化されたものと考えられる。金属ポルフィリンメッシュ構造はナノスケールでの規則性を持った金属分子のパターン構造を自発的に構築することに繋がった。中心金属の酸化数の電気化学的制御や中心金属への有機分子の配位などを利用した分子メモリとしての展開も期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属ポルフィリンを用いたメッシュ構造の構築とSTM観察に成功しており、当初の年度計画の通りの進展を見せている。3次元的有機超格子構造成長のためのテンプレートとなることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今期の研究により、3官能性ユニットを用いたハニカム状のメッシュ構造を構築することにも併せて成功した。グラフェン、g-CNに続く、第3のハニカム状層状構造として、基板から成長させた光触媒材料としての機能性発現への展開が期待される。こちらに関しても有機超格子構造成長とあわせて、推進していきたい。
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