研究課題/領域番号 |
12J02322
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山口 祐人 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ソーシャルメディア / 居住地推定 / ソーシャルグラフ / オンライン推定 / Twitter |
研究概要 |
昨年度は、ソーシャルメディアにおけるユーザの居住地推定というテーマで研究に取り組み、国際会議での発表、論文誌への採録などの成果を得た。 本研究の最終的な目的はソーシャルメディアを用いて実世界におけるイベント(地震、火事、犯罪など)を検出することである。例えば、関東圏にいるユーザが一斉に「地震だ」と投稿していれば、関東で地震が起こったのではないかと推測できる。これにより、災害対策や防犯、復興などに役立てることが出来る。イベントの検出をするためにはソーシャルメディアに投稿をするユーザがどこに住んでいるかを知らなくてはならない。しかし、ソーシャルメディア、例えばTwitterでは約75%のユーザは自らの居住地情報を公開していない。そのため、ユーザの居住地情報の推定が必要となる。 昨年度はソーシャルグラフを用いた推定手法及びコンテンツを用いたオンライン推定手法の二つを提案した。前者の手法では局所的に注目を集めるユーザを特定し、それを用いてそのユーザに注目しているユーザの居住地を推定する。例えば、つくば市の天気予報アカウントに注目しているユーザはつくば市に住んでいる可能性が高いと考えられる。後者の手法では、時々刻々と投稿されるコンテンツに含まれる、地域性を持つ単語を用いてそのコンテンツを投稿したユーザの居住地を推定する。例えば、つくば市で地震が起こった際に「地震」という単語を含むコンテンツを投稿したユーザはつくば市に住んでいる可能性が高いとしてその確信度を逐次高める。 二つの提案手法の有効性を検証するために、日米における二つのTwitterデータを用いた評価実験を行ったところ、既存手法の精度を大幅に改善したほか、局所的に注目を集めるユーザの特定が可能であり、また従来手法では不可能であったオンライン推定が可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソーシャルメディアの統合には、実世界における位置情報という観点が重要になってきている。昨年度に実施した研究はソーシャルメディアのユーザと位置情報をと結びつけ、また実世界の出来事とソーシャルメディアとを結びつけた。この結びつきを基に他のソーシャルメディアを相互に結びつけることが可能である。昨年度の成果により、「研究の目的」の達成に向けておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は昨年度に提案したイベントの検出およびユーザの居住推定手法を改善するためにより大規模、長期間のデータを用いた実験を実施する。その結果によりそれら二つのタスクの関連についてより深く調査し、また他のメデイアに対する実験も実施する。さらにユーザの居住地推定には検出したイベントの情報のみでは十分であるとは言えないため、別の情報源の活用を模索する。まずはソーシャルグラフにおけるユーザ間の関係を提案手法に取り入れる方式を検討する。
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