研究課題
8世紀におけるインド思想の相互交渉の諸相を明らかにすることを目的として、文献学的基礎作業を行いつつ、これに基づく思想研究を適宜公表した。前年度に引き続き、ジャイサルメール・パタン二写本のカラーコピーに基づく、シャーンタラクシタ・カマラシーラ師弟(8世紀)の『摂真実論(タットヴァ・サングラハ)・注釈(パンジカー)』「序章」の校訂及び訳注研究を行った。この基礎研究に基づく思想研究として、『摂真実論・注釈』と同著者による『中観荘厳論・注釈』に見出される、唯識説を批判して外界実在論を主張する仏教徒であるシュバグプタ(8世紀)に対する師弟の反批判を検討した。その成果は「非実在の形象の認識と唯識性―『タットヴァ・サングラハ』「外界対象の検討」章vv. 2040-45―」として論文掲載された。また、『摂真実論・注釈』における、自己認識論を激しく攻撃したミーマーンサー学派クマーリラ(6世紀)に対する師弟の批判を検討した。クマーリラの主張の検討に当たっては、ミーマーンサー学派の資料自体も精査し、ミーマーンサー学研究者にも助言を仰ぐ等して慎重を期した。その成果を、“Santaraksita on the Two Kinds of Arguments for Self-Awareness: sahopalambhaniyama and samvedana”と題して、ウィーン大学(ウィーン)で開催された「国際仏教学会」にて発表した。なお、同発表の英語論文は、Proceedings of the 5th International Dharmakirti Conference (forthcoming)に採録決定済みのものとして受理されている。以上のように、本年度は、師弟による仏教内外に対する論難という側面から思想の交渉関係を明らかにした。今後、「序章」の全校訂及び訳注研究の出版を予定している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the 5th International Dharmakirti Conference, Heidelberg.
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Journal of Indian Philosophy
巻: 42 ページ: 297-307
10.1007/s10781-013-9197-0
哲学
巻: 66 ページ: 93-107