研究課題/領域番号 |
12J02339
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 亮介 九州大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(PD)
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キーワード | 大腿骨頭壊死症 / ステロイド性骨壊死 / 滑膜炎 |
研究概要 |
特発性大腿骨頭壊死症の病態および修復に関して、動物モデル及び疫学調査等を用いて、基礎的、臨床的研究を行った。 基礎的研究として、ステロイド性骨壊死家兎モデルを用いて、ステロイドの投与経路によって薬物体内動態およびステロイド性骨壊死の発生頻度がどのように変化するについて検討を行った。臨床におけるステロイド投与法と、モデルにおける投与法は相違点があるものの、その詳細や薬物動態についてはこれまで検討されていなかった。雄日本白色家兎に対して、経静脈、経口、経筋肉内の3種の経路でステロイド剤を投与し、骨壊死発生率および血中薬物動態、血液学的変化を検討した結果、ステロイド性骨壊死発生の危険因子として、ごく短期間の高ステロイド濃度を引き起こす投与法より、一定期間一定濃度を維持する投与法がより強く関与している可能性が示唆された。 臨床的研究として、記述疫学調査によって特発性大腿骨頭壊死症の詳細な記述疫学調査を行った。福岡県では過去3年間に新規認定患者は339人であり、発生率は年間10万人あたり2.26人であった。誘因はステロイドあり31%、アルコールあり37%、両方あり6%、両方なし25%であった。治療法では約半数で手術が行われており、人工関節手術が最も多かった。ステロイド性骨壊死では平均41mgの投与量、4.6年の投与期間であった。アルコール性壊死では1日あたり平均2.7合、約25年の飲酒歴であった。記述疫学結果をまとめ特発性大腿骨頭壊死症調査研究班会議にて報告した。 さらに平成25年8月からは、米国テキサス州に渡航し、Texas Scottish Rite Hospital for Childrenにて、大腿骨頭壊死の病態に関する基礎的な研究を開始した。小児における大腿骨頭壊死疾患としてPerthes病が知られているが、当施設では未成熟豚を使用したPerthes病モデルを用いて、骨壊死のどのような組織変化が滑膜炎、関節炎を引き起こすかにかについて分子生物学的な検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特発性大腿骨頭壊死症および類似する疾患について、研究課題に沿って動物モデルおよび疫学的手法を用いて、基礎的、臨床的研究を遂行している。基礎的には動物モデルを用いて臨床的知見の基礎的裏付けを行い、臨床的には特発性大腿骨頭壊死症の疫学的指標の報告ならびに記述疫学調査を行った。結果の一部について国際学会ならびに国内学会で発表した。また8月からは米国にて分子生物学的な観点から本研究課題に関する詳細な研究を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題に関しては一定の結果を得ており、今後まとめた結果を国際学会および英文雑誌にて発表予定である。 また、8月からは米国Texas Scottish Rite Hospital for Childrenに研究拠点を移し、これまで未解明であった骨頭壊死に起因する滑膜炎のメカニズムおよびその役割について分子生物学的観点から研究を開始している。骨壊死発生後に滑膜炎を惹起する重要なメカニズムとして、壊死に陥った細胞から放出されるDamage associated molecular patterns (DAMPs)に注目しており、マクロファージ様滑膜細胞を介したInnate immunesystemが病態に深く関与し、滑膜増生および炎症性サイトカインの増加を引き起こしているという仮説のものと研究を継続している。
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