研究課題
太陽フレアをこれまでにない高感度で観測するために、硬X線望遠鏡による集光撮像という新しい技術を用いたロケット実験FOXSIによる観測を行った。打ち上げの3ヶ月まえに、FOXSIロケット実験の共同研究機関であるカリフォルニア大学バークレー校に滞在し、フライト検出器の較正試験を行った。打ち上げ前からは、打ち上げ場である米国ニューメキシコ州ホワイトサンズミサイル実験場に3週間滞在し、打ち上げ前試験や打ち上げ準備を行った。FOXSIロケットの打ち上げは11月2日に行われ、世界初の硬X線集光撮像によるフレアの撮像分光観測に成功した。観測データは、カリフォルニア大学バークレー校に滞在して集中的に解析を行い、フレアが起きていない領域にもX線が検出されていることが発見された。この検出が有意であれば、世界で初めての成果ということになる。FOXSIロケットでも観測対象となるような小規模なフレアに対して、RHESSI衛星による硬X線観測とともに、高いの有効面積をほこるすざく衛星搭載のガンマ線全天モニタを用い、マイクロフレアの観測的研究を行った。その結果、巨大フレアよりも3桁エネルギー規模が小さいGOES Bクラスのフレアにおいても、100keVという高エネルギーまで粒子が加速されていることを発見した。研究の中心テーマである、太陽フレアや高エネルギー粒子加速という、太陽の磁気エネルギーの解放過程を総合的に理解するためには、太陽光球の磁場と彩層・コロナの磁場の関連を調べることが重要であるが、これまでは観測の難しさから、彩層・遷移層の磁場測定は十分に行われていない。現在、彩層上部・遷移層の磁場の観測を目指し、太陽Ly α偏光分光観測ロケットCLASPが推進されている。私は本年度から新たにCLASPチームに加わり、機器開発に参加した。
1: 当初の計画以上に進展している
FOXSIロケットの打ち上げに成功し、成功基準だった太陽の撮像分光という目標のみならず、静穏領域からの放射の検出にも成功するという新発見があり、予定以上の成果を出しつつある。
本研究課題の中心となるFOXSIロケットの結果は、データの取り扱いに注意しチーム内で十分議論した上で、速やかに投稿論文等での発表を行う。また、2回目の打ち上げは2014年に計画されており、打ち上げ予定に遅れないよう検出器開発等の準備を並行して進めてゆく。
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Astrophys J
巻: 765 ページ: 143:1-143:6
10.1088/0004-637X/765/2/143
Astrophys. J
巻: 764 ページ: 6:1-6:8
10.1088/0004-637X/764/1/6