研究課題
2013年度は、研究課題の中心であるFOXSIロケット実験のデータ解析を行い、2013年11月の国際会議Hinode-7で発表した。硬X線太陽撮像分光観測ロケットFOXSIは2012年度11月に打ち上げに成功し、打ち上げ後から本年度に至るまで、2013年3月と10月の2度カリフォルニア大学バークレー校に滞在し、FOXSIチームのメンバーとともに解析を進めた。また、他の衛星等の同時観測結果を検討し、FOXSIによる観測結果の科学的解釈を行った。研究代表者は特に、ひので衛星のX線望遠鏡と極端紫外光撮像分光器のデータを解析し、フレアを起こしていない活動領域に注目してデータを検討した。その結果、ひので衛星の観測結果からは300万℃以上の高温のプラズマの存在が示唆されているが、FOXSIロケットではそのような成分からの放射は見られないことがわかった。FOXSI衛星の感度およびひので衛星の観測の不定性から考えて、300万℃以上の高温プラズマは実際には存在しないと考えられることがわかった。本成果は投稿論文としてもすでに投稿済みであり、2014年度に出版されることを見込んでいる。また、2014年度に予定されているFOXSIロケットの2回目の打ち上げであるFOXSI-2に向けて、搭載検出器の開発を行った。FOXSI-2では特に高エネルギー領域での有効面積向上のため、テルル化カドミウム半導体検出器を使用予定である。FOXSI-2検出器は、研究代表者の設計に基づき、三菱重工業にて製作予定である。2013年度8月には三菱重工業にて、詳細設計に関する会議を行った。2013年度2月には読み出し回路用の部品を実装した検出器基板が完成し、試験を行った。基板の正常動作を確認し、フライト品7個とバックアップ品3個の合計10個の基板を確保した。
1: 当初の計画以上に進展している
FOXSIロケットでは1つの科学的成果を論文として発表することを期待していたが、複数の科学的成果を論文発表できる見込みである。これらの論文はすでに準備が進んでおり, 投稿済みで査読を受けているもの、近いうちに投稿するものがある。
FOXSIロケットの観測成果は、引き続き論文として発表するために、論文執筆や、査読コメントに対する対応等をすすめてゆく。FOXSIロケットの2回目の打ち上げのために、フライト検出器の製作を行い、打ち上げ準備、打ち上げ、データ解析を行う。検出器の性能評価は宇宙科学研究所で行い、検出器キャリブレーション及びロケットの組み上げは米国の共同研究機関であるカリフォルニア大学バークレー校で行う。打ち上げは2014年度に、米国ニューメキシコ州のホワイトサンズミサイル実験場にて予定されている
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: Vol. 65 ページ: Article No. S 1 6.
10.1093/pasj/65.sp1.S1
Applied Optics
巻: vol. 52 ページ: 8205-8211
10.1364/AO.52.008205